「ミッションを開始する」『らじゃ~』 俺たちはこの会社の社長から、秘密裏に雇われた存在だ。 普段は、会社員になりきっている。 同じくして雇われたコードネーム【ユサユサ】と特別端末をとおして やりとりをする。「確認する。 俺は標的の部屋に潜入したのち、PCから機密情報を入手する」『ふむふむ』「コードネーム【ユサユサ】 きみの役割を言いたまえ、もう一度いう、確認だ」『わたしは~、桂木くんが頑張っている間に、専務の行動を監視、報告をするでありま~す!』「ばっか!! コードネームを使えッ! あと、標的の正体もいうな! 盗聴されていたら、どうするんだ」 ユサユサ…続きを読む
ちいさな子供に話しかけられた。 * 拙者は、さきほど戦で命を落としたはずなのだが、どういうわけか意識がある。 身体がある。 辺りには、なにもない。「あぁ、ここがあの世ってとこかい・・・・・・」「勝手に決めないでほしい」 さきほどから、拙者の前に立ちはだかっているこの子は、誰だろう。 まだ十歳にも満たないのではないか?「・・・・・・君もあの戦で?」「だから、勝手に解釈しないでほしいかな」 むっと頬を膨らませている。「ふがいない事に、拙者は負けてしまったのでござるよ」「だから、もう未練はないということかい?」 ずいぶ…続きを読む
「・・・・・・どうすんだよ。 こいつ」 俺はとんでもない奇怪な出来事に頭を悩ませていた。 * 会社も長期休暇になり、炬燵でぬくぬくしていたところ。 突然、目の前にテレレレッテレ~ンみたいに異空間の穴があいた。 そこから飛び出してきたのが。『あなたと一緒ヒューマノイド』 と商品名が書かれた、バカでかいパッケージBOX。 ドスンッ!と、こたつの上に放り出され、謎の異空間ホールは閉じる。「なんだなんだ!?」 剥きかけのみかんが、ぺしゃんこだ。 身の丈ほどの箱の中には、人影のようなものが包装されているのが確認できる。「おいおいおいお…続きを読む
低気圧。 加えて、雨だったり曇りだったり。 カーテンをあけても、うす暗い午前7時。 耳鳴りがとまらなくて、 たまらなく憂鬱になった。 この世界は、天候ひとつで気分まで左右する。 不気味に笑みを浮かべて、 僕のくるまるベッドの上に、 当然のように現れた。『........寝ていろ。 疲れているのだ貴様は』 休日知らずの断り知らず。 抱えたたくさんの業務の闇に包まれた僕を 力強いひとことで、だまらせる。 しかし、無断で休むわけにもいかない。『ならば、体調不良だといえばいい』 濃密な圧力が、ずしりとのしかかる。…続きを読む
部活では期待のエース。 日常では学年のアイドル。 誰がどうみても順風満帆の人生勝ち組な女の子。 いま俺の目の前で泣いている彼女は、決してそんなものではなかった。 ただの普通の高校二年生。 どちらかといえば、不器用だ。 料理は下手くそで、カレーすらまともに作れない。 ホラー映画をみたら、怖くてガチ泣きするし、 感動ものを観たら、涙と鼻水を問答無用で人の袖口で拭いてくる。 誰がどうみても自分勝手で弱虫な人生へたくそ組な女の子だ。 学校の帰り道。 泣きはらした顔を、俺の腕の中にうずめて「fhすsんjくしうえんsj~~~~ッッッッッッッ!!」 そう…続きを読む
はじめて相対するお客さん。 そんな相手の表情筋を緩ませる。 なかなかそんな事はできませんよ。 ふところに、ザッと入ってきて ――ポンッ と、 手のひらで不意打ちを食らってしまったんですよ。「二度目はねぇぞ」って、 気構えするんですが、 ワッ!! と、 声をあげて、のど元まで開いちゃうんですよね。 そして、三度会いにいこうとした時が、 『してやられたッ!』 の布石だったと気付いてしまうんです。 一度目の ポンっ の心地よさは まさに心の鍵が開いたときの音だったのだ。…続きを読む
「わたくしと、キスをしてくださいませ。 はじめてを極上の思い出にしてさしあげます」「ダメだよッ!! あたし! あたしとちゅーして。 おねがぁ〜い♡」 俺の右腕には、豊満な双丘が押しつけられている。 それはもう巨大なマシュマロのようだ。 今にも沈みこんで、とろけてしまいそうになる。 はたまた左腕には、細くて柔らかい指を俺の手に絡めてくる。 耳元で、ココアのように甘い声と、ホットミルクのような柔和な香りがまとわり漂う。「ねぇ、どっちにしますの?」「あたしにしよ? ね?」 年上な佇まいの令嬢さながらの美女。 ハーフツインにした、八重歯…続きを読む
陰キャな僕とは無縁だと思っていた。「あなたの好きなギャルになってあげる。 ......どんなタイプがいい?」「ギャル限定......ですか」「うんっ♪」 とても同じ歳とは思えない、妖艶な笑みを浮かべる彼女。 僕ら以外いない校舎裏の非常階段に、ふたり。 身体を密着させて、ささやきかけてくる彼女は、まごう事なき「美少女なギャル」だ。 .....僕のことを、好きだという。 からかっていない。 いたって本気だと、その目をみれば分かる。 なので、僕も正直に伝えてみる。「清楚な感じのギャル、とか」「むぅ〜。 あたしが困るところ ついてくる…続きを読む
川沿いの、アスファルトで整備された広場。 ボールを蹴っておいかけて、遊ぶ小学生。 懐かしさは「あんな頃もあったなぁ」 のひとりごちで 胸の中に染みわたった。 そこから視線を少し上げると線路橋。 ローカルな電車が、 当時と変わらない音をたてながら 夕暮れに走っていく。 荷造りは終わった。 明日、俺はここをたつ......。ーー地元を離れる。「意外とさみしくなるもんなんだな」柄にもなく、センチメンタルな気分になっていた。久しぶりにきた遊び場。もう何年も来ていなかったのに、旅立つ前に頭をよぎったのは、なぜかここだった..…続きを読む
〇RAYARD MIYASHITA PARK・施設内自由と活気のあふれる、渋谷の商業施設。多くの若者たちが買い物を楽しんでいる。あなたは立ち止まり、ぼんやりと白いパネルを眺めている。後ろから男が声を掛けてくる。男 「大変なものを手にしてしまった・・・・・・」男、買い物袋を提げている。あなた「何、買ったの?」男 「予言者とやらにヒーローの変身グッズを売りつけられた」あなた「詐欺とかじゃないだろうな。 いい歳して冗談キツいぞ?」男 「……」男、袋から『先端にハートの形を模した』ステッキを取り出す。あなた、真意に迫った彼の声音と、本人との不釣り合いなソレに絶句す…続きを読む