桜の花びらを踏み付けて。 川沿いの通学路。新旧様々なローファーが校門へと向かうと。 久々に声が行き交う教室は、春の陽気を目一杯吸い込んでいた。「おはよう文香……って、え!? どしたのその目」 呼ばれた鈴音は振り返る。腫れぼったい瞼は、朝方 氷で冷やしても まだ若干の熱を残していた。「花粉症?」「そ、それ」 本当は違う、けど。 重たいのか よく分からない中身を、口に出す気にはなれない。「うわぁ、ツラいね」友人の浜辺はサラッと流し「そうそう、また菜亜さんいるよね。やだな」 リュックをドサッと机に置いた。チェーンに繋がれた桃色クマの目が、鈴音を捉える。「そだね」…続きを読む
その後ろ匂わせた青い肌まあ煽ってくれる ちらりズムね「お連れの方、顔は無いの?」寄越した返事「気味が悪い。それより──」 って何その かわし方もう公然堂々 あげといて「リモート飲みは二十時だよね」「えぇ」そこで問い詰め吐かせたるポッポー 鳩が鳴く前に帰社荷物まとめて我が城へP C 起きてね お時間よ愛の杯 交わすのなんて自分に酔ったマヌケ面ヤッホー 並ぶ笑顔に会釈探り入れても「なんのこと?」小鳥の森の写真を up君に見せても とぼけ面_  ̄_馬の骨の名を差し出しゃ そこで楽になり 私と じゃらくら じゃらくら後ろめたさは置いて行こ…続きを読む
「…俺、ゲイなんかもしれん」「…はぁ!?」ガタガタと席を立つ音が響く大教室に、大きな声が重なった。外へ出て行く者や まだ残っている者の視線が、1番後ろの真ん中、4人の男子生徒に集まる。見られていると気付いた1人が、慌てて顔を伏せた。「そんな驚かんでもいいやん」田村 叶(たむら かなえ) は、早く他の生徒が帰ることを願った。「いやいや驚くわ! 知らんかったし!」「みつ、声デカいって…」講義中 爆睡していたはずの遠枝 充(とおえだ みつる) は、叶に顔を寄せ、話の続きを催促する。「え? いつから? 大学前から? なんで、1回生ん時 言わんかったん?」「別に…言う…続きを読む
怖いわあれが怖いわそれが小さな画面が重要で細かな数字が物言う時代笑ってごらん気分が乗らない?ムリムリ駄々こね逆らったエスカレーター進めない一旦 持ち場を離れて暫く 全体俯瞰鋭い 視線はあるか前すら 見てなかった憂鬱な雨だって傘に素敵なラメ乗せる眠たげな反応だって暗に居ていいと許してる0が3つ並んだ画面に寝たくないなと呟いた決まっていない題目にこれじゃないのと案捨てた暇になったらまたおいで強く引き止められないまた今度…続きを読む
ピンポーン…インターホンの画面には、いつもの宅配のおっちゃん。もう16時か…。いつから寝てたんだろ。こたつからノソノソと這い出て、玄関に向かう。あれ?鍵開いてる…。まったく、あの子は…。閉めずに学校行ったのね。…まぁ、確認しない私が悪いか。あくびを噛み殺し、ドアを開けた。「こんにちはー」「もう、早く出てきてくださいよ」「ごめんなさい。寝てたもんで」「…? 何言ってるんですか」…続きを読む
楽しみの伝染だ。 隣に座る松くんを意識しながら、冷たい空気を喉の奥にスゥっと。 ……うん。訪れる皆ひそひそ手を取り合って、空からの伝言を期待してる感じ。「ありがとな」 静かに言葉を置いた。 その言い方が少し気になり、目を開いて横顔を見つめる。「何が?」「色々と……。花火大会、一緒に来てくれて。いつも、助けてくれて」 右手首に通した紐から、ベンチに立て掛けられた白杖へと目を移す。 なんて答えたらいいのか詰まってしまい、ただ笑った。 二年の二学期を締めくくるテストが終わり、解放感でいっぱいな土曜日。 もし誘われてなかったら、今ごろ制服のまま寝ているだろう。「い…続きを読む
monogatary.comがオープンして3周年……投稿するようになった きっかけは「短編小説や詩を書きたい」という思いから。初投稿は、2018年8月19日、タイトル→『心のひっかかり』。お題は [高校生に伝えておきたいこと]。詩のようなもので、こうしとけば良かったなって 後悔の話。今までの自分の投稿作品の中で、なんやかんや一番長め =『こぼしたのは少しだけ』ぽつぽつ書いてる詩もどきで。monogatary.comを使っていて ありがたい点は、サイトデザインのすっきりさ。*絞れなくて 絞れなくて。まず、椎名想太郎さんの作品。『夜想曲』『パントマイマー』…続きを読む
もう無理世とキミ 壁つくり、出来上がった 巨大迷路。伝って言っても 伝わらず終いに 「バイバイ」 仲違い。「ちょっと、あの子がキミの 噂してた」影が立って「それ何のこと?」どこまで聞いて、信じたの?どっちから来て、見つけたの?互いに割らずに 口喧嘩三つの意図「やい、ぐっちゃぐちゃ」気付いた塊私へと、方向転換ターゲット。スタートが皆 あったのに、みんな隠して、嘘を言う。…続きを読む