夜明けの空に、君の姿が映える。君の少しオレンジがかった髪がひらりと揺れている。君とは小学生の時からの幼馴染だ。一目惚れではなかったけど、僕は君に惹かれていった。いつも明るく振る舞う君は僕の憧れで、それからそれが恋に変わったんだと思う。小さい頃から、君は色が好きだったよね。自分が気に入った色を見つけると必ず僕に教えてくれた。少し曇った空の晴れ間の色、雨が降った後の紫陽花の色、少し褪せた喫茶店の看板の色、いろんな色を教えてくれた。僕は他の人と色の見え方が違う、いわゆる色覚異常だ。でも君が教えてくれた色はどれも鮮やかに僕の目に映った。僕は色の識別が苦手だったか…続きを読む
今日も目覚めて、新しい一日が始まる。僕は平凡なサラリーマンだ。毎日新しい朝を迎える度に今日がいい日になるという淡い予感が、風に乗ってやって来る、ような気がする。昨日はいつも通りの日で、一昨日もなんら変わりのない一日を過ごした。でも「見方一つで世界は変わる」そういうありふれた言葉って本当だと思う。見方一つで、劣等感すら逆手にとれてしまう。同期のできる奴のことなんか気にしない。僕は僕だから、自分なりに全力をこなす。そうして、僕は僕から見える景色を変えていく。もちろん、変わりのない日常が劇的に変わることはなかなか無い。でも、「僕」というこの役だけは誰にも譲れ…続きを読む
一日で一番好きな時間、私は、家の窓から外を覗いて、ぼーっとしてる時間が一番好きだなぁ。外を見てると、雲が動いたり風が通過したりするのが分かる。何となく物思いにふけってみたり、何も考えていないのに考えているふりをしてみたり。私が外を見ている間、コウちゃんがずっと私のことを見てる。コウちゃんは私の同居人。私がゴロゴロと喉を鳴らすと、コウちゃんは私の頭を撫でる。私がニャアと鳴くと、コウちゃんは私に微笑みかける。やっぱり私はこの時間が一番幸せだなぁ。ーーーーーーーーーーーー一日で一番好きな時間、私は、ムギのこ…続きを読む