休み時間になると、みんなで教室を出て手を繋ぐ。男の子も女の子もごちゃ混ぜで、クラスの半分くらいの子が参加するの。 みんなで手を繋ぐと大きな輪っかになって、真ん中でしゃがむ子を決めるの。必ず、最初に手を挙げるのは私。 私がしゃがんでお目々を隠すと、みんながくるくる回ってくれる。「か〜ごめかごめ、後ろの正面だぁれ」 私の後ろに立ってる人を当てなくちゃいけないんだけど、私はいつも外してばかり。 本当はね、分かってるの。 私耳がいいんだもん。目をつぶってたって、みんなの声は聞き分けられるよ。 さやちゃんは今斜め前だし、ケイくんは私のすぐ左にいるし。意地悪なさおりちゃんは、…続きを読む
寝て起きたら書き上がっていた。 なんてことはないわけで。 だからこそ、自分の手で書くわけで。 たまに逃げ出しながら。 たまに泣くほど向き合いながら。 そうやって書いた文章に、意味がある。 きっとね。…続きを読む
友達。イマジナリーフレンドを生み出すのは大得意でした。 肩に乗れるサイズのフレンドが多く、よく周りをウロチョロしてました。 『犬〇叉』の雲母とか、『風の〇のナ〇シ〇』のテトとか、あんな感じのフレンド達です。 普段は姿を見せないのに、外出の時は急いで走って来て、何食わぬ顔で肩に乗ってくるんです。 急に来るから車のドアに挟まれないよう気を付けなきゃいけないし、本当に重さも感じてた。ような気がする。 今思えばなかなかの末期。 フクロウなんかもよく遊びに来てました。 気が付いたらじっとこちらを見ていて、「行くよ」と声をかけると飛んできてくれました。 これは『ハ〇ー・〇ッター』み…続きを読む
私が死んで、お葬式が催される事になった。 親族が泣きながら用意してくれたお葬式。 それなりの人数が来てくれた。 「え? そんな関わりあったっけ?」と思う人まで俯き気味で悲しそうにしている。 死後、体をなくした状態で見る自分のお葬式はなんとも奇妙だ。 会場を見渡すと、前の席から後ろの席にかけて、お葬式に臨む態度がいいかげんになってるのがよく分かる。 一番後ろにいる遠縁のおじさんなんて、両足投げ出して背もたれに寄りかかってるし。 その少し前には、仲が良かった友だちが数人並んでいた。ふよふよ浮いて近づいてみると、お葬式中なのに何かおしゃべりをしてる。 おしゃべり好きな…続きを読む
サヤくんお帰りなさい。 お母さん今日は遅くなります。あと、お母さんまた、今日ヤりたくなっちゃった。 ごめんだけど、お遣い行ってくれるかな? 良くメモ読んで、間違えないでね。宜しくね。 ■ゴミ袋(分厚いやつ) 安くて薄いのはすぐ匂いが漏れるから要注意! 消耗品だから多めに買っても良いよ。 ■両刃のこぎり 片側でも良いけど、両側に刃がついてたほうが使いやすいよ! ■ペット用消臭ビーズ 霧吹きのヤツよりビーズタイプのほうが楽。ビーズタイプ買って来てね。 ■保冷ボックス 今使ってるのがあるけど、大人だともっと大きいサイズじゃないと入らなそうだよね。 お店で一番大…続きを読む
ゴーストライターとして活動を続けてもう10年近くになる。 最初は暇つぶしで投稿サイトに、その日思い付いた話題に対して、自分の意見をダラダラ書き連ねるだけだった。 それがある日、ゴーストライターになってくれないかとDMが来た。 しかも俺の文章をベタ褒めするおまけ付きで。 当時の俺はとにかく自分の文章が褒められたことが嬉しくて、よく考えもせずに承諾してしまった。若気の至りだったのかも知れない。 その時書いた俺の物語は依頼主の作品としてネットに投稿され、バズりにバズって、曲やアニメ、漫画にまで派生していった。 もちろん、今じゃその依頼主は有名人で、俺は相変わらず無名の存在。 味…続きを読む
他の方の文体を真似るということができないので、どうしようかと考えました。 そして、文体が真似られないのなら、そのままお勧めすればいいのでは? と思い付きました。 そんなわけで、これまで読んだ中で個人的に好きな文章をご紹介です。 共感してくださる方がいるととても嬉しいです。 ※ネタバレが含まれる可能性があります。お気をつけください。 ※蛇足ですが、自分なりの推しポイントをコメントしてあります。<紹介作品>1:蹴りたい背中/綿矢 りさ 様2:聖の青春/大崎 善生 様3:ネバーランド/恩田 陸 様4:告白/湊 かなえ様1:『蹴りたい背中』綿矢 りさ 様【3…続きを読む
ある日、X君とY君がケンカをしました。 普段仲の良い2人が取っ組み合いをして、それはそれは派手なケンカでした。 教室でご飯を食べたりお喋りしていた生徒達は、驚いて2人を振り返ったそうです。 ケンカはすぐに止められましたが、X君は脇腹をぶつけて濃いあざを作って、Y君は前歯が欠けました。 2人の担任教師である身としては、今回の原因をきちんと把握しなければなりません。 まずはX君を呼んで、話を聞くことにしました。 放課後の教室で椅子に座るよう促すなり、X君は興奮した様子で話出しました。「だって先生、あっちが悪いんですよ。俺が付き合ってる恋人をバカにしたんです! 年上だけど可愛い…続きを読む