「何だって・・!?」「だから〜、心配なんだよ〜、ケンチ!」「うるさいな〜、シンジは心配しすぎなんだよ!」「まぁまぁ、見に行くだけならさっ、いんじゃない?」 今日も、シンジの心配事に振り回されている。この間は、近所で飼われている犬が、虐待だ!餌もらえてないと騒ぐから、何回も見に付き合わされた。段々と痩せていく犬を見て、ソーセージを握りしめて半泣きになっているシンジから、ソーセージを奪い取ると、僕は犬小屋に近づいて行った。と、飼い主の奥さんに見つかって、僕は固まった。僕の握りしめたソーセージを見ると、優しく微笑んで、話をしてくれた。歳老いて食欲が無くなっているのだと言う事を。「この間だっ…続きを読む
ガチャンッ!『たけっ!』わたしは、たけの家のドアを勢い良く開けた。家はシーンと静まり返っている。カタッ、スッスッスッスススリッパで歩いて来る音がする。『あぁ、りっちゃん、たけは公園に行ってるの。』『公園?こんな朝早く?』今は朝の7時。って、こんな朝早く人の家のドアを開けてるわたしもおかしいけど。わたしはともかく、たけのお母さんに教えてもらった公園に行った。たけはすべり台の上に立っていた。『たけ!そんな所で何してるの?』『りつ、ぼくは社長になる!』『はっ?』『ぼくが社長になって、パパの話を聞いてあげるんだ。』そう言うとたけは大きく息を吸って、口を開いた。『ぼくはー!一…続きを読む
わたしは登る。登るんだ。大丈夫、大丈夫って心で思いながら。『今日のおひつじ座のラッキーナンバーは 7番です!』 朝、テレビのニュースキャスターのお姉さんが、キラキラの笑顔で言ってた。ラッキーナンバー付きの星座占い。 パパとママ、わたしは占いが始まる少し前から、テレビに注目する。 わたしとゆうきはおひつじ座。パパは行って来ます!と言って玄関を出た後、ジャンプしてる。たぶん7回。ママは紅茶を、何杯も飲み始める。たぶん7杯。いつからか、みんな、ラッキーナンバーに願いをこめるようになった。わたしは病院の階段を7階まで登りきった。『ハァ、ハァ、ハァ』ちょっと休憩。今度は、横目で病室…続きを読む