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以下、お気に入りをオススメします!
Eve「約束」の物語コンテスト 優秀賞受賞
『叶わない約束を何度でも』
https://monogatary.com/story/116781
monogataryスタッフのオススメ掲載作品
・4分で読めるコメディ『資格が必要です』
https://monogatary.com/story/115060
・世にも奇妙な物語風ホラー『階段』
https://monogatary.com/story/114364
不定期連載の赤裸々エッセイ
https://monogatary.com/story/140270
「苦くて甘い」 卓也は仏頂面で、ただ一言そう言った。 その先も何か言葉を続けるだろうと思って顔を見続けたけど、黙って面倒くさそうな表情になっていくだけ……「え、それだけ?」「うん」 悪びれもせずにそう言いきる卓也。 最近急にぶっきらぼうになりだしたけど、今だけはそのマイブームをやめてほしい。「せっかくの味見なんだから、もっとなんか言ってよ」「普通じゃない?」「普通って何。もっと言い方あるでしょ?」「知らねーよ、俺はあいつじゃねえ。もう帰れよ」「冷たくない?」「うるせー、もう帰れ」 そう言って卓也は私を放置したまま、二階の自分の部屋へ向かう階段を登りだした。…続きを読む
滅多に書かないんですが、愚痴的な日記です。 今カクヨムで人生初の長編小説を書いているんですが、まあ心が折れそうになります。 読者は増えないし、20話を書いてても1話を改稿したくなるし、そもそものプロットがダメなんじゃないかって思えてくるし、まあそんな感じです。「長編10万字を書き終えられる。それだけで凄い才能だ!」 そんなふうに書いてあるブログを読んだことがあります。 まあ駄文でも駄文以下の文字でも、少なくとも書き続けさえすれば10万字は書き上がるんだから、凄い才能ってのは言い過ぎなのではと思ってました。 でも違いますね、10万字ってマジできついです。 自分で駄文だと思って…続きを読む
「なぁ、死ぬ前にさぁ、お前の時計、貸してくれよ」 ゆっくりとねっとりと、低い男の声が背後から右耳に響く。 薄暗い部屋の中、錠剤を手のひらに乗るだけ乗せて、口に運ぼうとしたそのときだった。「きゃっ」 男の声が聞こえ始めた時点で、押し殺した悲鳴を漏らしていた。 その声が続いている間ひたすらに硬直することしかできていなかったが、男の声が止んだタイミングで意を決し、ゆっくりと右方に顔を向ける。 そちらには無造作に本が積まれた本棚があるだけ。 いや、棚の一番上の段には普段から仕事で使っている腕時計が2つ置いてある。「振り向かずに聞けよ」 次は真後ろから、両耳に響くような声が…続きを読む
「このメンバーでイタリアンに来るのは久しぶりだな」 安田は恥ずかしそうに笑みを浮かべながらそう言った。学生時代の友人である男たちが、久しぶりの再会を果たしてテーブルを囲んでいる。「このパスタ美味いな」 派巣田が口いっぱいのパスタをモグモグしながら言った。行儀が悪い。派巣田は美味しいものを食べると必ず、何度も美味しいと口にするタイプだ。「うん、美味い、でもこれパスタじゃなくてスパゲッティでしょ」 酢歯毛亭が水を飲み終えて言う。酢歯毛亭は細かいことを気にするタイプだ。「パスタとスパゲッティって一緒じゃないですかね?」 場酢停はキョトンとした顔で言う。場酢停は空気が読める聡明な男…続きを読む
まだまだ新婚、札幌出身のアラサー男、やすだかんじろうです。笑ってもいいかなのバトンを回してもらえて大変嬉しいです。山咲さくらさんありがとうございます!(百度ここ愛さん、山咲さくらさんと、道産子バトン3連続です!) せっかく素晴らしい機会をもらったので、今後ふとしたときにエッセイを書ける場所を作っちゃえ!と思いまして『かんじろうやすだのくだらない話』なんて題名で始めちゃいました。今後も自由気ままに、ふと思いついたタイミングで書いていきたいと思います。 今日は、笑ってもいいかなという番組にゲストとして呼ばれた僕がちょっとした話をする、みたいなイメージで書いていきたいと思います。僕のくだら…続きを読む
2XXX年、安心安全平和な日本https://monogatary.com/episode/250827…続きを読む
センサーのありそうなあたりに手をかざすと、ぶぃーんと音を立てながら僕の手にハンドソープが垂れてきた。指の間と爪の間を素早く擦り、また別のセンサーのありそうなあたりに手をかざすと、じゃーと音を立てながら手の泡が流れていく。手のぬめりがなくなったことを確認すると、ジェットタオルで数秒だけ手を乾かし、ズボンの尻ポケットからハンカチを取り出して、手をふきながら騒々しい店内を目指して歩く。手を拭きながら入店することで、トイレに行くために一時的に店外に出ていたことが店員にも伝わり、不必要な「いらっしゃいませ」を言わせないで済む。自席に帰ってくるとテーブルの上に伝票が置いてあり、そのバインダーにはすでに千…続きを読む
「結局、俺はスマートフォンってそこまで流行らないと思うぞ」「いやいや田中さん、すでに流行に敏感な学生たちは凄い勢いでスマホに移行し始めてますよ」「そりゃ安田くんみたいに、若者は新しいものが好きだからなあ」 しばらく話しているが、上司の田中さんはずっとこの調子で、スマートフォンがどれだけ革新的かをさっぱり理解しようとしない。部署は違えど、仮にも我々は携帯電話も手がける大手電機メーカーの社員だというのに、こんな調子で大丈夫なのだろうか。田中さんは最近ようやく携帯電話を使いこなし始めたばかりの人なので、新しいものを覚えたくないだけなんじゃないだろうか。なんでこんな人が特許部の課長をやっているの…続きを読む
「ねえ、おじいちゃん。オヤジ狩りって知ってる?」 不意に僕がそう尋ねると、おじいちゃんは身体をビクッとさせてから、勢いよく僕の目を見た。その眼光が何故か鋭く見えたため、僕はとても驚いてしまい、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかと思った。「すごいな直人、今どきの小学生はそんな言葉を知ってるのか。まさか歴史の授業で習うのか?」「いや、この漫画に書いてあったんだよ」 おじいちゃんの表情がいつも通りに戻り、声色が落ち着いていたことにもほっとしつつ、僕は手に持っている漫画の単行本の背表紙を見せた。「ああ、それか。そんなに古いヤンキー漫画読んで楽しいか?」「うん、だから遊びに来てるんだよ…続きを読む
「遠藤さん、あなたのことが好きです、付き合ってください」「え、本当に?信じられない。本当に嬉しいよ、藤原くん。私も藤原くんのことが好き」 私は昨日、大学のサークルの同期である藤原くんに告白された。入学から1年間、藤原くんのことがずっと気になっていたので、思わず涙を流して喜んでしまった。私なんかが藤原くんと付き合えるなんて、夢のようだ。「俺にとって遠藤さんこそが理想の存在だと思うんだ」 藤原くんは、なんて嬉しいことを言ってくれるんだろう。また涙が出てきてしまう。「藤原くん、そんなこと言ってくれて、ありがとう。私本当に幸せ」「ええー、藤原ー。お前遠藤と付き合ったの」…続きを読む