【主人公】◆曼珠丸/マンジュマル 一等妖斃器。『伝説の七本』の一本。 感情の起伏が激しい妖刀。頑固。よく怒る。 自分が主人であり、トトは所有物の剣士だと主張している。 己を「妖を斃すための存在」として妖刀の責務に徹しているが、かつて仲間であった妖刀に情けをかけたり、妖である酒呑童子を肯定したりと、情に厚い面がある。 真名『千帝黄泉・白花彼岸花/センテイヨミ・シロハナヒガンバナ』。 『帝眼石』を素材とした真の意味の刃神の一つである。 『持ち主の心肺停止』と『曼珠丸の自我の崩壊』の条件が重なると、『千帝』の能力に目覚める。 能力は『自走』とされているが……。◇赤木 刀人/…続きを読む
永禄三年(一五六〇年) ある男が森を歩いていた。男が背負う籠にはまるで武蔵坊弁慶の如く数多の刀剣が詰め込まれていたが、彼は決して弁慶のような屈強な武人ではなかった。男はその刀剣たちの生みの親だった。 男は鍛冶屋だった。若い頃は近江に住まい、優れた刀工として重宝されたものだったが、歳を取るにつれ奇抜な刀や用途不明の武器を製作するようになると、仲間たちに疎まれ鍛冶場を追い出されてしまった。男の一種狂気的な鍛冶への執念は治まることなく、その後も彼は奇怪な刀を造り続けた。 既存する刀剣から大きく外れる武器は、当然ながら戦には適さなかった。各地で戦乱が巻き起こる当時、武器に求められたのは量産性…続きを読む
【主人公】◆曼珠丸/マンジュマル 一等妖斃器。『伝説の七本』の一本。 感情の起伏が激しい妖刀。頑固。よく怒る。 自分が主人であり、トトは所有物の剣士だと主張している。 真名『千帝黄泉・白花彼岸花/センテイヨミ・シロハナヒガンバナ』。 『帝眼石』を素材とした真の意味の刃神の一つである。 『持ち主の心肺停止』と『曼珠丸の自我の崩壊』の条件が重なると、『千帝』の能力に目覚める。 能力は『自走』とされているが……。◇赤木 刀人/アカギ トト 推定15歳 二等妖斃師(民間)。 曼珠丸に育てられた少女。 曼珠丸と出会う以前、人体実験によって脳の感情を司る部位を外科的に取り除かれ…続きを読む
妖とは—— 主に生物が放つ邪念を意図的、または偶然浴びることで稀に発生する思念体である。この邪念を一般的に妖気と呼ぶが、妖の源となるこの妖気を浴びるのは物質や生物、あるいは概念と類を選ばない。 妖の多くが人や動物の感情に干渉し、糧となる妖気を貪るなか、ごく限られた強い妖気を持つ妖は物理的干渉を可能とし、より直接的に人や生物から妖気を搾取することがある。後世まで語り継がれる妖の多くがこの後者であり、遥か昔より多くの犠牲者を出していた妖災である。 科学技術の進歩につれて人の世が安定した現代でこそ妖の絶対数は劇的に減少しているが、かの時代には文字通りの災害である妖への対処を強いられていた。…続きを読む
乗り継ぎを繰り返し、電車に揺られること10時間。 駅から降りて、更に2時間歩いた先に見える、都会の景色とはかけ離れた断崖絶壁。高層ビルに匹敵する巨大な岩の壁……その頂上に建つのは、寺によく似た建築の学び舎。 私立双刃殺法女子学園。 この世に存在する、数多の拳法、殺人拳の家で生まれた子どもたちが、健全かつ正しく伝統の技を継承することを支援、指導する、国内に5つある殺法学園の1つ。そして学園のうち唯一の女子高でもある。 学園に入るためには、まずこの崖を登らなければならない。本来の道は、崖の周囲をぐるっと回って登山する獣道だ。安全で確実な道だけれど……電車が遅れたことと、ここに来る…続きを読む
こんにちは、初めまして。 当博物館解説員の■■■です。よろしくお願いします。 当館には900人ほどの殺人鬼の資料や死体を保管しております。本日ご来館くださった皆様には、当館でおススメしている代表的な殺人鬼をご紹介したいと思います。 もし気になることなどがありましたら、お気軽にお尋ねください。質問もいつでも結構です。 それでは当館をご案内させていただきます。こちらへどうぞ。 ♢ あちらに見えますのが、まず1人目の殺人鬼となります。まず一番最初にお客様に御覧になっていただくに相応しい、イチオシの殺人鬼です。『ジャッカル・ビーンズ』……『捩じ切り魔』の通…続きを読む
今年で27歳になり、まだ早いかとも思っていたが親から勧められて半ば強制的に結婚相手を紹介させられた。 お見合いとかそういう堅苦しい形式ではなく、良い人がいるから会ってみなさいとのことだったが、相手の親も同伴しての対談だったので、もはやお見合いと大差なかった。 昔からサプライズ好きな母のイタズラ心か、実際に対面するまで相手のことは何も知らなかった。幼い頃から何かと驚かせてくる母のせいで、むしろ些細なことでは驚かなくなってしまいまるで無感情の人形のように思われてしまう私だったが、この時も内心驚きこそすれ表情には出ていなかったように思う。 しかし親に紹介される相手がまさか女だとは思わなか…続きを読む
その採用試験は、試験というにはあまりに簡易的でお手軽なものだった。 試験時間も特に決まっておらず、訪問して来た人と順次面接を行っているようだった。無くても構わないが無いよりはあった方がいいとのことだったので、念のため用意しておいた履歴書を提出した。 履歴書とは言うが、体裁の整ったものではなく切り離したノートに経歴を簡単に書き記しただけのものだった。 蘇芳夜子は、緊張した面持ちで用意されたパイプ椅子に座っていた。面接官の目線が履歴書を上から下へなぞるのを見守りながら、夜子は唾を飲み込んだ。 面接官はくたびれたスーツを着た中年の男性だった。目が細く、話すたびに深くなる目じりのしわが…続きを読む