私が会社へ行かなくなって、嫌、行けなくなって早3ヶ月が経とうとしています。まさか自分が入社した会社で上司からパワハラに遭う等と予想もしていませんでした。私は要領が良くありません。だからこそ努力を怠ったりはしませんでした。それが余計に上司を苛つかせる要因だったのでしょうか。…分かりません。ある日、ひどく機嫌の悪い上司に「給料泥棒!」と恫喝されました。それ以来、会社には行けていません。どうしても行けないのです。恐怖で体が支配されて足がすくむのです。まともに外出もままなりません。こんな自分、情けなくてたまりません。自分を許せる自分になりたいです。今までが順風満帆に来…続きを読む
初めましての皆様もおなじみの皆様もお疲れ様です、葵野楓と申します。最近のmonogataryでのエッセイブームに便乗して、エッセイの連載に挑戦してみる事にしました。いえ。白状しますと、エッセイで皆様方が色々交流しているのが羨ましくて始めました。邪な奴です。そう。葵野楓を一言で表すならば、内気で陽気な小心者なのです。最近は頑張って気になる作者さんや作品には積極的にコメントを残すようにしておりますが、自分のあまりの語彙力のなさにコメントすら出来ない時は、拍手のみになってしまいがちです。あぁ。なんてチキンな自分。そんな自分を打破すべく!さら…続きを読む
高橋さんの鮮やかなフリーキックが決まる。私は初めてこの瞬間を見た時、まるで時が止まったかのように思えた。この人は時空とサッカーボールを自由自在に操れでもするのか、と。一目惚れだった。この人に近付きたいと思い、必死にサッカーのルールを覚えた。追いかけて、追いかけて、今。私は社会人サークルのマネージャーとして高橋さんの側に居る。『マネージャー』として。そう、高橋さんには同じ会社にお似合いの倉橋さんという素敵な彼女がいるそうだ。私は一目惚れした瞬間に失恋していたのだ。だけど、大丈夫。私はマネージャーとしてでも側で支えられたら。──嘘だ。同じサークル仲…続きを読む
ここはとある精神科病棟の個室でございます。真っ白な壁に囲まれながら、私は今日も眠れない夜を過ごしております。「おまじないのお薬下さいませ。」「おまじないのお薬下さいませ。」蝶々の刺青の入った手を伸ばしたところで、お医者様も看護師さんも助けてはくれません。この苦しみは、自らの命を粗末に扱おうとした報いなのかもしれませぬ。枕に向かい、1人、悲鳴にも似た叫びを吐き出し、にやりと笑えば、心は幾ばくか落ち着きます。「おまじないのお薬下さいませ。」「おまじないのお薬下さいませ。」朝までまだまだ時間はございます。私は私の思考の渦へと今日も旅立ちます。私は、私を許せるよう…続きを読む
「このまま時が止まってしまえば良いのに。」彼とベッドでまどろみながら、私は1人そう呟く。「そうだね。」なんて口では軽く言って私に背を向けるあなたを、私は、愛してしまったのと同様に殺してしまいたい程に憎い。妻子持ちだなんて知らなかった。と罵りながら。きっと罵ったところで私たちの関係は壊れ、あなたは私から離れ、何事もなかったかのように家庭に帰っていくのでしょう。あなたはあなたを許しているもの。私は私が許せないのに。けれど、あなたを手放す勇気もない。だから願うの、あなたと一緒に時を止めて下さい、と。敵うはずのない願い。寝息をたて始めあなたの背にすがりつく。「あたたか…続きを読む
わたしには大嫌いな言葉があるの。「あなたが何気なく生きた1日は誰かが生きたかった1日である」みたいな、あれ。どうして比較されなくちゃいけないの?誰かにとっては生きたくて仕方なかった1日かもしれないけれど、わたしにとっては死にたくなるような辛い1日だったかもしれないじゃない。所詮、痛みなんて本人にしか分からないとわたしは思ってしまう。ねぇ、こんなどうしようもないわたしに、何故あなたは一緒にいてくれるの?寄り添ってくれるの?その優しさがわたしはこわいのよ。いつか離れるなら、今離れてよ。え?ぼくだって優しさはこわい?だから一緒にいるんだよ、って?何言ってるの、…続きを読む
ふわふわとした雲のように、私の足元は浮ついていた。大体、齢21,22で人生の決断を迫られるというのは何と残酷な事だろう。夢がないから勧められるがままに大学へ進学した。その大学でも、カリキュラムや勉学には励んだが「これ!」と言った将来への夢は見つけられなかった。そのまま、怒涛の就職活動最前線へ放り込まれる事になる。インターンシップ。会社説明会面接適性試験毎日が自分の価値を試されているかのようだ。「自己PRをお願いします」「弊社を希望した理由をお聞かせ下さい。」「長所と短所は何ですか?」自分は、こんなにもつまらない人間だったのか。説明会の帰り、公園のベンチに座り…続きを読む
ねぇ、お母さん?少し働き過ぎじゃない?もう歳なんだし、仕事が好きなのは分かるけど、そろそろ他の趣味というか、家庭に入ってゆっくりするのもいいと思うんだ。こんな事言ったら、「何言うてんねん。そんなんしたら、一気にぼけてしまうわ!」って怒るのが目に見えてるから直接は言わないんだけどね。でも、本当に心配してるんだよ。え?私の心配より自分の心配しろって?痛いとこ突くなぁ。でも、ほんとお母さんには心配のかけっぱなしだよね。小さい頃から足が悪くて、何軒も何軒も治してくれる病院を探してくれた事忘れてないよ。けど、結局治すには手術しかない、って分かった時、お母さん自分を責めて泣…続きを読む
「とうとう見つけたんだ、美智子!」夫の良彦が子どものように頬を上気させながら家に帰って来た。夫はジャーナリストをしていて、1年の大半を海外で過ごしている。少し寂しい別居婚のようなものだけれど、毎回帰国の際は面白いお土産話を沢山聞かせてくれる。それが楽しみであった。そして、今回のお土産話は、ある街を見つけたらしい。そう。とても常人には信じがたい『幸せしかない街』なるものを。「まぁた、そんな事言って。海外生活が長くて気でも触れたんじゃないの?」私はにわかに信じなかった。「そんな事はない!俺は確かに見つけたんだ!今から一緒に亡命しよう。」「ちょ、ちょっと本当にどうしたの?一回冷静…続きを読む
弱点1 十分でない点。欠点。2 後ろ暗いところ。弱み。goo辞書より参照同じグループの留美には、そういう弱点らしき点が見当たらない。品行方正、成績優秀、容姿端麗、誰にだって親切で、家柄だって良い。あぁこういう人は一生陽の当たる世界で生きていくんだろうな、と想わせる人種。あまりにも悔しいから、留美本人に「弱点とかないの?」って聞いてみたら、「うーん、虫が苦手かな。」だって。どこまでも模範解答だ。私が求めていたのはそういう答えなんかではなかった。常日頃から留美に劣等感を抱いている私は留美の弱点探しに躍起になった。何でも良いの。何か留美の弱点を見つけ出したい。けれど…続きを読む