小説家を目指す中学生です。書きたいときに書きたいものを書きたいだけ書きます。気軽にコメントなどしていただけると嬉しいです。
Start 2021.02.08(中2)
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―俺は、追憶する。あの頃の闇のような暗い出来事。永遠に、俺の心の奥底で、しかし確かに根付いている。親を殺されたあの血生臭い時間、俺はあの時何をしていた?それがずっと、俺の脳裏を苛む。片時たりともこの後悔を忘れたことがない。否、忘れない。行き場のない怒りとも悲しみとも言えぬこの感情は、いずれ俺が死する瞬間まで、俺と共に生き続けるのだ。 高校一年生の時の俺は、いわゆるいじめを受けていた。ときには血と雨にぐっしょりと濡れ、時には半裸と間違うほどに破れた制服で、時には煙草臭く焦げた右足を引きずりながら、俺は家へ帰った。その度に母は俺を静かに抱きしめ、「ごめんね、ごめんね...」と泣いていた。何に謝…続きを読む
私には、少し変わった能力があります。それは、人の発言を聞いた時、その人がその発言をするに至った事象、経緯が手に取るようにわかる、といったものです。例えば私は、結婚詐欺師にプロポーズされた時、彼の発言の中に”結婚して金を根こそぎ奪って逃げる”意図が見えたため、きっぱり断ることができました。この能力、かなり有用なのです。さて、私の最近の日課は、”娘のただいまを見る”ことです。娘は小学一年生になったばかりで、母の私としては学校生活で嫌なことを耐えたりしていないか、など、心配でなりません。でも私は、能力のおかげで、娘が「ただいま」と言ってくれるだけで、学校で何があったか知ることができます。といっても…続きを読む
今日の始まりは、温かい静寂からだった。決して寝ぼけているからだけではない視界のぼやけは、まるで記憶もない昔と同じだ、そう感じる。ベッドから起き上がり、のどかな雀の会話を横耳に、階段を降りる。洗面所で名の通り顔を洗い、ついでとばかりに目にコンタクトをはめる。それはあの時のように青い色をしているわけではない。だからこそ、私はもう子供じゃないのだ、そう思えてくる。果たして、あの時もう少し私が大人だったら、今頃この洗面所にはもう一本、歯ブラシがあったのだろうか。そう思った自分に驚き、何も言えず、何もできず、雀の声ばかりの朝が私を覗く。もう、諦めたはずなのに。まだ私は、彼の瞳を、肌を、笑顔を…続きを読む
パン、おいしかった。ちょっと甘くて、でもちょっとしょっぱいところもあって。兎角、いい塩梅のパンだった。こんなにポジティブな気持ちで感傷に浸るのは少し変かな?わからないけど、やっぱりポジティブに生きるのが一番だよね。まあそんな事考えてるけど、結局、今私が口寂しいのには変わりがない。また、パンを作りたくなってきた。でも、まだいい材料が見つからないな。そう少し困っていると、コーヒー豆のいい香りが目の前で漂っていることに気づく。見ると、会社の後輩が置いてくれたようだ。最近入った新人さん。少しでも早くこの会社に馴染もうと、尽力しているのがわかる。その姿を見ていると、諦めかけていた私の心が再燃し…続きを読む
わたしの、きおく。ないてうまれた。なかれてうまれた。おなかがすいていた。いつもすいていた。あるけるようになった。だっこしてもらえなくなった。しゃべれるようになった。しゃべられることがなくなった。もじをおぼえた。えほんをよんでもらえなくなった。ほいくえんにはいった。いつもおむかえがいちばんおそかった。しょうがっこうにはいった。よるごはんがすくなくなった。だんだん成長していった。みんなに「細いね」って言われた。力が強くなっていった。体にあざがふえた。親がこわくなった。家に入れてもらえないことがふえた。友人の家にとめてもらった。友人をいじめなさいと、親に…続きを読む
昔、飼い猫が一匹いた。名を”ぴいあ”と言った。愛猫である。いつ何時たりともぴいあは私の傍にいた。私にとってぴいあは、家族であり、第二身のようなものだった。私の瞳のキャンパスに描かれた風景を、ぴいあはパステルカラーで色づけてくれる。そんな存在だったのだ。時は十数年前に遡る。魁星がうっすら見える華麗な夕刻であった。私は助手席にぴいあを乗せ、橙の中ドライブをしていた。いつもどおり、穏やかな日常。ぴいあは今日も絵の具を持つ。私の見る景色を、色づける。それもいつもどおり、鮮やかだった。しかしこの日の私は、より鮮やかな非日常を記憶するのである。前方から車が来たので、道を譲ることにする。左寄りに車を停…続きを読む
あの日、東雲の綺麗だった日。君に涙を流した。あの日、桜の香る日。パステルカラーを見上げた。あの日、熱と歓声で蒸された日。青臭い夏を笑った。あの日、から紅が落ち始めた日。君の横顔を眺めた。あの日、鈴が鳴った輝く日。君の温もりを体感した。そして、さざんかが綺麗だったあの日。また君に涙を流した。…続きを読む
妙なバーが家の目の前に建った。レトロチックな外観。ドア上の看板には「Bar Galaxy」と書いてある。開店したばかりということもあってか、かなりの数の客足があった。だが、先述の通り妙なバーなのだ。なぜか、入店した客が注文をすることなく、たった数分で帰っていくのだった。十分以上店内にいた人は僕が見ていた中ではこれまで一人もいない。それの意味がわからないのだ。僕はとうとう謎を解明したくバーに向かった。扉を開けるとからん、と昭和な音がなる。「いらっしゃい」マスターのやる気のなさそうな声が店内に昏く響く。それは客が何も頼まないからだろうか。それとも別の要因なのだろうか。メニューを見て慄然と…続きを読む