小さなころから音楽が大好きだった。覚えてないのだけど、3歳の頃、私は母に「ピアノを習いたい」と言ったらしい。人見知りで、人前が苦手な私がこれから困らないように、いい機会なのかもしれないと考えた母は、ピアノを習わせてくれた。辞めたい。そう思い始めたのは、小学校の頃だっただろうか。発表会で弾く曲が難しすぎて泣きべそをかいたのだ。だんだん難しくなる曲を練習することで、私はピアノを嫌いになっていった。そんなとき母は必ずこう言った。「万里子あのね、これは万里子の武器だからね。磨くときっとあなたを助けてくれるから。」間違ってはいなかった。友だちがいない学生生活でも、私を助けてくれたの…続きを読む