時々、神が話しかけてくる。時にラジオの中から、時にネット動画の変な奴に化けて、時に映画俳優の体を借りて、時に友人のふりをして、時に全く知らない誰かに乗り移り話しかけてくる。その多くは、私の悪いところを教えてくれるものだ。その忠告に何度も救われた。しかし、最近は少し変わってきた。最近神は私の耳元で、「チャンスだ!」とささやく。 実は俺は、ほぼテレビを見ない。今回もたまたま父の容体が悪化して、実家にいた。「おいおまえ!そう、そこのおまえだよ、これ読んでるおまえだよ、おまえ、実家と聞いて、でっかい田舎の旧家を想像したろう?俺の実家は2DKのボロ屋だよ」、「まあいいか」。たまたま実家でテレビを…続きを読む
真黒な眠りをつんざく、バリバリバリバリドッカーン、という爆音と衝撃と苦痛で目が覚めた。俺全体を覆うように本棚が俺にのっている。「なんでこの向き!」と思ったが声が出なかった。本棚は部屋の隅に置いてあったはずだ、こんな向きになるはずがない。動こうと思うが、体は全く動かない。手すら動かない。羽毛布団に首まですっぽりくるまって上向きに寝ている。その上に本棚が覆いかぶさっている。そしてその本棚の上に瓦礫が散乱している。天井をよく見ると所々に青空が見える。しばらく頭が真っ白になる。何があったんだろうか、何が起こったのか全く分からない。竜巻?地震?雷?火事でもオヤジでもない、もしかすると飛行機でも突っ込ん…続きを読む