〈異世界勇者を探して〉走って!走って!もっと速く走って!自分の脚を叱りつけ、痛みをこらえて無理やり走る。休日の街中は、田舎町だけどそれなりに人がいる。走る邪魔にはならない人数だけれど、怪しい人を見るような視線をいくつも感じる。今日はスカートじゃなくて良かった。スカートだったらもっと奇異の目で見られただろう。最悪の場合撮影されてたかもしれない。あいつの格好のほうがよっぽど目立つし変なのに!間抜けにも撮影されたあいつのことを思い出し、悪態をつきたくなる。けど、疲れ切って声を出せる余裕もない。息切れに限界を感じて膝に手を突き、呼吸のたびに身体が大きく揺れるのを感じる。ぜ…続きを読む