最新型のスマホを片手に見慣れない錆びた校門を抜け、ソフトワックスでゆるく整えたブラウンベージュの髪を揺らしながら自然に囲まれたやたらと広い校内を歩く。 背中には前の学校にいたときから使っているお気に入りブランドの黒いリュック。 黒い学ランのボタンはシャツと一緒に二つ外してキャメル色のセーターを覗かせる。 新しい制服は前のブレザーと違ってちょっと垢抜けないと心配していたけれど、これなら及第点。 だって俺が着ればどんなダサい服だって、それなりにイケてるように見えてしまうから不思議だ。こうして歩いているだけで、女子たちの黄色い声が聴こえてくる。「ねぇ、あの人かっこよくない?」「本当だー…続きを読む