※花笑さんから挿絵をいただきました。ありがとうございます。
モノコン2021『TEAM JACKPOT 企画書』
『世にも奇妙なmonogatary』に参加させていただいています。
URL https://monogatary.com/story/259500
※5/2『ひなた』さんに愛犬まめのアイコンを作っていただきました。
感激です!!『ひなた』さん、ありがとうございました。
12歳。4月から中1になった『彼岸』です。
めざましテレビの告知でこちらのサイトを知り、2月からポツポツと投稿しています。
皆様の作品を読ませていただくのにはまっています。
よろしくお願いします。
太陽の日差しがジリジリと肌に突き刺さる。 ジリジリジリジリ アブラゼミの声が辺りに響く。 暑さをものともせず、子どもたちは虫とり網を手にセミを捕まえようと走り回る。「陽葵(ひまり)先生、セミ取って!」 陽葵姉が子どもたちにお願いされている。 今日は学童のお泊り会。 私と一歳上の陽葵姉は高校の夏休みに、近所の学童でお手伝いをしている。 夜には市の納涼祭で花火が上がるため、校庭で花火鑑賞を行う予定だ。 陽葵姉は美人で明るく、いつも子どもたちに囲まれている。「真希先生、この後の読み聞かせの時『北風と太陽』読んで!」 小2の栞(しおり)ちゃんは、あまり人気のない…続きを読む
夜空をほんのり照らす月明り。 俺は古びたビルが立ち並ぶ、人気の少ない通りを歩いていた。 来たことなんてないはずなのに、どこか見覚えのある場所。 ふと空を見上げると、暗闇の中、薄明りに照らされた廃墟ビルの屋上に人影が浮かび上がる。「ん?」 目を凝らした瞬間、人影がゆらりと揺れた。「キャー」 女性の叫ぶ声がこだまする。 真っ暗な地面に、広がる鮮やかな赤い色。 声を聞きつけ、人だかりができる。「人が落ちたー」「だっ、誰か!きゅ、救急車!!」 口々に叫ぶ周囲の人をよそに、俺は呟いた。「あれ?俺は、これをどこかで……」「光輝、もう朝よ」 母さんの声がする。俺は…続きを読む
今日は僕にとって『怖い人』について話そう。僕の同居人は4人。【男】、【女】、【子ども】、【赤ちゃん】。名前は……興味が無いから覚えていない。【女】は。いつもあれこれ世話を焼いてくれる。だから同居人の中では一番好き。フットワークが重いから、機敏な僕の遊び相手としては不合格。情緒が安定している。【子ども】は。たまに僕の世話を焼いてくれる。散歩もたまに一緒に行ってくれる。フットワークが軽いから、遊び相手としては合格。ちょっと情緒不安定。【赤ちゃん】は。僕が世話をしてやっている。泣いたときにそっと寄り添ってあげている。自由に動けないから、遊び相手としては合格圏外。3年…続きを読む
空色がオレンジに塗り替えられていく、そんな夕焼けの様子を。 夕陽が丘公園でブランコに揺られながら、ぼんやりと眺める。 公園の平穏な風景とは裏腹に、私の心はゆらゆら揺れ動いている。 昨日も突然、父は理不尽なことを言い始めた。 そんな父を見る度に、私の心は悲鳴をあげる。 こちらに向かって犬が走ってくる。 口にくわえていた手袋を私の前に落とした。「ん?」 拾い上げると、片面に大きな赤い染みがついている。「血!?」「すみません。うちの犬が。」 飼い主の男性が追いついて、犬の首輪にリードをつなぐ。「あっ、その手袋。落としものなんです。まめが見つけた途端、くわえて走り出し…続きを読む
死にたいってよく口ずさんでる でも結局生きたいってもうこの世界が嫌いで嫌いで この世界から消えたいってでもそんなことできなくて いつも歌で言葉にして鬼面を被り 自分を偽る思念を探り 他人を気遣う意見を隠し 自分を鈍らす視線をたぐり 他人は気づかずこの世界から 自分の存在は消え去ってしまって君がいなくなったこの世界で 僕は生きる意味を探している君が逝ったあの世界へ 「僕を連れて逝って」と死神に願いを未来に背を向け 過ぎ去った過去ばかりを思い出す「生きてていいのかな?」そんなことを考えて死にたいって でも生きたいって そんな毎日を送りこれからも僕はこの世界で生きてい…続きを読む
(俺は朝が嫌い。一日が始まるから。 夜が好き。一日が終わるから。) (私は朝が好き。今日も生きていられるから。 夜が怖い。朝を迎えられるか心配になるから。) ピリリリ 時計のアラームが鳴る。 俺は眠い目をこすり、起き上がってアラームを止めた。時計を見ると、6時30分。いつもと同じ時間だが、相変わらず眠くて仕方ない。だるい体を起こし、ベッドから降りてリビングへ向かった。「おはよう、朝一」 母さんが俺に声をかける。けれど母さんは俺の方を見ていない。ソファーに座り、妹の夕とテレビを見ている。「……」 俺は何も言わずにキッチンへ向かい、食パンをトースターに入れ、タイマーを回…続きを読む