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monogataryオススメ作品に選んでいただけました!
*2021.4.26
・【実話怪談】押し入れから、
・【実話怪談】ある山道にて。
*2022.4.4
・大通りまでの恋人
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「久しぶり」と彼女は言った。 軽く髪を横に流しながら、僕の横に彼女は座る。ウイスキーの様な色の照明は、彼女の耳に垂れる大振りのピアスを輝かせていた。彼女は一呼吸を置いて、申し訳なさそうな顔をして僕に尋ねた。「驚いた? 待たせてごめんね」「先に始めてたから全然大丈夫だよ。何飲む?」「どうしよっかな。何飲んでるの?」「ランブルスコ。甘いよ」「じゃ、私も同じので」 この店は初めて来たが雰囲気がいい。色味の薄い木製のカウンターテーブルが程よくバーらしくなく、落ち着かせてくれる。バーテンダーは手早く彼女のワインを用意してくれた。「乾杯」 チン、と小気味よい音が鳴る。…続きを読む
私は小学生の頃、公営住宅に住んでいた。 はっきり言うと、低所得者に地方自治体が賃貸している住宅のことだ。私が住んでいた住宅はとても古くからあるもので、家賃は当時で一万円もしなかったと思う。 値段から想像できるとは思うが、ボロボロだった。 古い建物ほど家賃が安くなるのは公営住宅でも一緒だ。その見るからに古い建物でも、そこに住まざるをえない人間が集まっている。必然的に訳ありの人間が多かった。もちろん、私の家庭も。 色々な住人の人生を見てきたであろうこの住宅は、怪奇な現象がよく起きていた。 住んでいると、徐々に違和感があることに気付く。 今ではそのような行為も少なくなってい…続きを読む
これは13年前に実際に体験した話だ。 私は友人が運転する車の助手席に座り、S県からG県へと向かっていた。時間は深夜の1時になっていて、田舎では例のごとく車通りもまばらになっている。 たわい無い会話をしながら、少し入り組んだ山道を走っている時だった。視界の先に何か白く、背の高いものが見えた。それはガードレールの奥にいて、暗い山道でひときわ浮いて見える。 車が先に進むにつれ、それははっきりと見えてきた。そこにいたのは上下の白い肌着を着た爺さんだった。 爺さんはガードレールの奥から車道を真っすぐに見つめている。私はそれに気付いた瞬間体が少し浮いた。実際に人間なのか、それともこの世の…続きを読む
「おはようございます」「――いただきます」 見慣れたニュースキャスターの顔が映る。朝の挨拶と同時に、ふたりは手を合わせて朝食を食べ始めた。僕のお皿にもご飯が盛られているから、一緒に食べます。 カチャカチャと食器の擦れる音がよく聞こえる。僕の方が先に食べ終えてしまったので、お父さんの顔を見つめていました。「お、なんだライチ。卵焼き食べたいか?」 お父さんは嬉しそうに僕に話しかけてくれます。「わんっ」 僕が返事をすると、お母さんは困ったような顔をしてお父さんに注意しました。「あなたやめてよ。犬に人間の食べ物は良くないって聞くし。だいたい、そんな醤油を多くかけた卵なんて…続きを読む