気づいた頃には既に転倒カーペットにできた日本列島隣で妹抱腹絶倒慌てて拭くもビショビショどうしよ部屋に漂うカフェオレのにおい親が帰る前にこれ隠し通し逃げ切れるかはまだわからんしhow to hide 方法に難儀「ただいま」「お母さん、あのねあのね、お兄ちゃんがね…」まだ待て妹早い早い今すぐ考えろ簡単なlie誤魔化しきれるか五分五分のlineカーペット上に乗せてstay「正直に言いなさい」「…ごめんなさい」GAME OVER…続きを読む
こんばんは。良き日にあなたと巡り会えたことを嬉しく思います。在りし日、貴方と初めてお会いして、体に刹那、稲妻が奔ったことを覚えています。多分、あれは恋なのだと思います。をかし、と昔の方々はそう仰いました。私は無意識の内に、貴方を美しく、愛おしい方と考えるようになってしまっていた。ええ、よくわかっています。どんなにどんなに願ったとしても、貴方は高貴な方。私には一切届く存在ではありません。苦しいことですが、私は諦める他ない。さようなら。あなたを愛する盗人より。…続きを読む
「…忍者の宿題代行」冬休みが明日で終わるというのに、微塵も宿題が終わっていない私にとってそれは素晴らしい提案だった。「あなたの宿題、寝ている間に終わらせて差し上げます 1時間1000円 家族経営 信頼の実績…」今日の朝ポストに入っていた広告。偶然私が1番先に見つけて、誰にも見られないように取っておいてある。「お年玉をちょこっと投資すれば、払えるかな」よし、頼んでみよう。私はそう決めると、スマホに0120から始まるフリーダイヤルを打ち込んで、電話をかけてみた。応対してくれたのは若い女の人の声だった。「はい、こちら忍者宿題代行です」「あの、宿題の代行をお願いした…続きを読む
俺は船に乗っていた。小さい頃から慣れ親しんだ、東京の街を流れる河の上を進む船だ。いつからだろうか。明確な出来事があった訳では無いが、きっと大人になって、現実を知ってしまったからだろう。こうして見ている青いはずの晴天、澄みわたっているはずのせせらぎ、雄大なはずのレインボーブリッジ。その全てが俺の目には単調でモノクロの風景に写っている。きっとこのまま、一生味気ない日常を過ごす。ある種の諦観を持って、俺は命を浪費していた。「やっと会えた」ふいに声がかかった。耳を包み込むような優しい声。その声の主を、俺は知っていた。出会いは中学の時。彼は地方からやってきた転校生だった…続きを読む
どうも皆様、おはようございます。VTuberの白木真白(シラキマシロ)です。コラボ動画の撮影にスタジオに向かっているのですが、今日の駅は一段と混んでますね。職業柄、こんなところでも身バレの心配はございませんが、やはり少々人の多いところというのは入るのに躊躇いが要りますね。さて、私の昨日アップした動画、見ていただけましたでしょうか。そうそう、「某レースゲームでレートカンストして差し上げました」です。高評価していただけたのなら幸いです。私、貴族の末裔という設定でやらせて頂いておりますもので、視聴者の皆様とお話する時はいつもこのような言葉遣いなのですが、恥ずかしながら現実ではエゴサー…続きを読む
「人生とは迷路である」俺の恩師の座右の銘。俺はしがない歴史学者の男である。子供の頃から色んな場所を探検するのが好きなわんぱく少年だったと両親は言う。その延長か、大人になってもその気概は止むことなく、気づいたら世界中を飛び回っては未知の遺跡を発掘したりして生活していた。俺の恩師、橘先生は大学時代からお世話になっていて、もう知り合って10年が経つ。俺がこの年齢で人並みに仕事が出来ているのは、ひとえに先生のおかげである。そして、俺には同じく大学時代に知り合った恋人がいる。彼女の名前は安室由美。いわゆる城ガール。一緒に勉強するうち、自然と俺たちは恋仲になった。今から話すのは、俺がプ…続きを読む
「大晦日を前に通信制限かかっちゃってさ…」12月29日。そろそろ今年も終わる。年末はのんびりできる時間も多く、携帯を使う機会も増えるが、「通信制限」という壁が俺の前に立ちはだかった。「お前、異世界通信って知っとるか?」「異世界通信?」正月前に帰省している二歳上のいとこが訛りに訛った口調で不思議なことを言い出した。なんでも、関西ではよく広まっている噂らしく、上手く行けばギガを使わずに携帯をいじれるらしい。「手順はな、こうしてこうしてこうやってな…」いとこは設定を開いたりとか変なアプリ入れたりとか勝手に俺の携帯をいじくり回した。テキトーなこと言ってイタズラしようとしてい…続きを読む
冬の本屋でのこと。僕は好きな推理作家の本が読みたくなって、高校からの帰りにそこに立ち寄った。その本屋は雰囲気がとても良くて、居心地のいい場所である。外の寒空に対して、年中オレンジの照明に彩られた物語の宝庫が僕を迎えてくれる。いつもならなんてことない、ただ本を買う日常の一幕なのだが、今日は違った。僕の目当ての作家の本が並ぶ棚の前でおろおろしている女の子がいる。高いところを見て困っている様子を見るに、目当ての本に手が届かないのであろう。「どの本?」僕は女の子の隣に立って、左手を上に伸ばしながら言った。女の子は猫のような柔らかい声で、「その、右の、西野圭二の本です。青の背…続きを読む