それは、風の気持ちいい日だった。屋上で靴を脱ぎかけていた私は、目の前に居る三つ編みをした先客に声をかけてしまった。 「ねぇ、やめなよ。」____口をついて出ただけ。ホントはどうでもよかった。ただ…ただ何となく先を越されるのが癪だった。それだけ。三つ編みの彼女は言った。「…運命の人だった。あの人じゃないとダメだったの。」「どうしても愛されたかったの。」は?ふざけんな!そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!欲しいものが手に入らない?___奪われたことすらないくせに。「話したら楽になった。」三つ編みの子は、消えていった。________…続きを読む
『言いたいことがあるんだよ』『他のオタクに絡むなよ。』『大好き過ぎて本当死ね!』『やっと見つけたガチの恋』『×××のファボ欄見ているよ。』『誰よりあなたが1番好きです』『LINEのID教えてよ_____』___________________________________携帯のアラームが鳴って目が覚めた。僕の名前は MOI(モイ) もちろん本名では無く、活動名。YouTubeやニコ動でいわゆる"歌い手"として活動している。今日見た夢は夢じゃない。今、僕は炎上している。理由は…まぁ、今から書くので見てほしい。歌い手仲間から送られてきたURLへとぶ…続きを読む
昨日の夜、君は居なくなって、もう24時間たった。その間僕は、一歩も外に出ていない。君はマイペースで、よく寝坊をするから家の時計を5分早めた。まだ5分あるのに慌てる君を眺めていた日常も昨日で無くなった。たばこの嫌いな僕を気遣って、君はわざわざベランダで吸ってたっけ。風でカーテンが揺れて、目があつくなった。泣きそうなのを堪えたんだ。もうそこに君は居ない。「もっとちゃんと僕を見ててよ。」って言ってしまったその言葉は、君には重かったのかな?そんな事言わなかったら今、君はここに居てくれたのかな…?僕のことをこの世で1番知っていてくれるのは君だ。眠たい時に、体温が上がって、"あつ…続きを読む
好き?嫌い?好き?それもとも嫌い? ____ねぇ、愛して 家に居ない母親の代わりの父親。 「今日はしないから」少し喜んだ自分を嘲笑って部屋に入ってくる醜い僧。もう誰にも期待しない。嘘ばっかり。歪な哀。 孤独に犯される。自分に降りかかる無数の視線が嫌で嫌で恐くて恐れて。狂信的に足掻くヒステリーを起こす。 "紛れない愛はない" 誰にも言えないし親は変えれない。 "あぁ、嫌だ" 震える声を押し殺して今日も笑う。乱交の末に狂い、中学生には過激的すぎる今日。悶えて、枯れて、朽ちた華の10代を。無情なまでに…続きを読む
ずっと昔に時計の針が動きを止めた。時の経たない、永遠の世界。そこに閉じ込められた私。日が昇らないから、朝は来ない。朝が来ないから、夜も来ない。そんな世界。私はもう、どれだけ起き続けているの?それすら分からない。しっかり掴めない。でも、放すことが出来ない。まぁ、そもそも掴まっていられるものなんて何もないけど。鏡の向こうの貴方を掴んで放したくない。なかったはずの永遠があるのにモノクロの世界。「どうして見えないの?」貴方の見ている全ての色を。「ねぇ、お願いよ」カラフルで自由になってもいい…?何が起こっているの?!誰か私に教えてよ‼︎誰もいない虚空に話しかけて。どうして、私はテレビ…続きを読む
ねぇ、どこにいるの?何をしているの?誰を見ているの?自分の知らない貴方がいるだけで、頭がおかしくなりそうなんだ。あー死にたい。もう嫌だ。今までの義務教育だとか、受験勉強だとか、全部無駄になっていい。天秤に乗せたら圧倒的に死にたい。どうして自分は何もできないんだろうか。運動できない。勉強できない。友達ができない。おまけにオタク。本当神様は不公平だ。自分が今いる教室は3階。飛び降りても死ねるか分からないくらいの高さ。"試しに飛んでみるか"そんな考えが頭をよぎる。風が気持ち良い。少し乗り出した時、「ねぇ、何やっとん?」話しかけられた。さっき言い忘れたが自分のステータスにはコミュ…続きを読む
私の家の近くには公園がある。滑り台とブランコだけの小さな公園。 私は4月にこっちに引っ越してきた。まだ1ヶ月しか経っていないが、その1ヶ月の間ずっと公園にいる男の子が居る。学校へ行く途中の公園でずっとブランコに乗っているその子は小学生くらいだ。いつも1人で、学校に行ってそうでもない。そもそも近くに小学校はない。 ある日私はその子に挨拶をした。ただ、ほんの気まぐれ。しかし、その子は人見知りなのか、聴こえていないのか無視をする。なんといっても小さな公園だ。私のいる入り口からブランコまでの距離はせいぜい2mあるかないか。「聞こえてる筈なのに…」何故無視するのかは分からないが…続きを読む