monogataryに投稿を初めて、もう2ヶ月が過ぎ、11月の上旬で3ヶ月。様々なmonogatary作家さんに出会って、作品を読んで思いました。エッセイを連載してる人、超かっこいい!!!私もエッセイ連載したい!ってことで、連載(?)をします。なんか、すみません。今、夜のテンションでこんなこと言ってますが、書きます、たぶん。日常の些細な出来事とか、書けたらいいなと思ってます。後は、小説の余談とか。まぁ、そんな感じに緩く書けたらな、と。何か書いてほしいことあったら、コメントしてください。私の独断と偏見で、書くか、否か、決めます。改めて、宜し…続きを読む
もうすぐで冬になる。外は一色、秋色に染まっているが、すっかり気温は冬となっていた。木々が寂しくなり、外はマフラーと手袋が無いと厳しくなってきている。食堂でのメニューも、温かいものが中心になってきた。 僕は、温かいうどんを啜ると、大分顔色が良くなった航がカレーをもりもりと食べた。灰原さんの一件以来、航の不眠症は改善され、顔色も健康的になっていた。僕はそれを見ると、言ってよかったなと思う。「ん? 何かついてる?」 じっと航の顔を見ていたせいか、航が僕の視線に気づき、口周りを手で触っている。僕は首を横に振ると、「何でもない」と言って、またうどんを啜る。不思議そうな顔をして航がじっと僕のこ…続きを読む
私は学校の図書室が好きだ。静かだし、定期テストが近くない限り賑やかじゃない。それに、ここの本の匂いが好きだ。本が出す独特の匂い。新品のページを捲るたびに香るあの匂い。あれがこの部屋には充満している。 それに、元々私が読書家であるということもある。暇さえあれば本を読んでいるし、読書をしていないと食品の裏側に書いてある表示を読んでしまうほど、活字中毒に溺れている。 今日も私は図書室で、次読む本を決めていると、ふと一冊の本の前で止まった。前に、司書さんから聞いたことがある。この図書室で一番古い本である、と。その話を聞いた時、一度興味は持ったが、今読んでいる本があったし、それからもずっとこの本…続きを読む
「明日世界は終わるんだって」と言った菜穂はどこか嬉しそうな顔をしていた。僕が今まで見てきた笑顔とは格段に違う、笑み。もし今までの笑みが嘘なのならば、これがきっと菜穂の本当の笑みなのだろうと思ってしまう。「……何」「知らない? YOASOBIの『アンコール』の冒頭部分」「菜穂が歌うから嫌というほど知ってる」 僕はこの前初めてYOASOBIが歌番組で『アンコール』を披露してから、ずっと歌っている菜穂の姿を思い出して、頷く。 『アンコール』は「明日世界は終わるんだって」と印象的な冒頭部分からあっという間に曲の世界に引き込まれてしまう、そんな歌だ。原作も、素晴らしかった。本を読まない僕…続きを読む
私が、吉原に来たのは、まだ5歳の時だった。 私の家は家計が苦しく、破産寸前で、借金をしないと家計が回らなかった。私が生まれてからはさらに悪くなる一方。そこで私の出番だった。 私を吉原遊郭に売ることで、金が手に入る。借金を返せる。家計が回る。破産しなくて済む。 私は金のために売られた。全ては欲望のために。まだ5歳だった私を異郷の地へと売り飛ばしたのだ。「今日から、あんたは茜だ」「私は、梅です」「これからは茜として生きなさい」 実父が去り、私は女将に旦那の前でそう言われる。生まれて5年。急に「梅」ではなく、「茜」として生きろと言われても困る。 私は、私を捨てた両親が憎い。金…続きを読む
あの日、唇に残った感触を残しながら、私は別の誰かの腕の中で眠る。それは私にとって幸せなことなのに、どうしても彼が残していった感触がやけに生々しく残って、幸せなんて噛み締められなかった。「どうして、私にキスしたの……」 私は目の前で私に背を向けてカフェオレを優雅に飲む彼に言う。彼は私と同期の社員だ。私がまだ別の人と付き合う前までは、2人で飲みに行ったり、休日に遊びに行ったりなどもした。 だが、それは決して好意も愛も絡んでなんかいない。ただの純粋な友情だ。 男女の友情なんて、存在しないと誰かが言った。でも、私はそうは思わない。友情に性別なんて関係ないと思う。無論、彼もそう思っていた…続きを読む
夏休みが明け、久しぶりに学校に行くと、髪を短く切っている女子がいたり、眼鏡からコンタクトに変えている男子がいたり、とキャンパス内はイメチェンの嵐に襲われていた。無論、僕はイメチェンなどということには興味が無い。髪を茶髪や金髪にしたいとは思わないし、ピアスを開けたいとも思わない。今の自分に満足しているからだ。 だが、隣にいる航はどうやら別の意味でイメチェンをしているようだ。姿も前より大分酷いが、精神状態はかなりイメチェンされている。「航、何かあったか……?」 僕は机に項垂れる航に言うと、いつもより酷い隈の顔をこちらに向け、まるでゾンビのように唸り声を上げる。その姿も、僕も少しだけ心の…続きを読む
世界というものは、本当に狭いと思う。同級生が芸能人になっている可能性だってあるし、何なら大学の教授がノーベル賞を受賞することだってある。三歩歩けば、知り合いに会う可能性だってある。せっかく夢の国に行ったのに、大っ嫌いな同級生にばったり出くわす、なんてことだってある。それぐらい、世界というものは本当に狭い。 それを今、俺はつくづく感じている。「先生……何してるんですか」「倉敷……お前こそ、何でここにいるんだよ」 目の前にいる俺が一番気にかけている生徒、倉敷真奈が買い物かごを腕にかけたまま、俺をじっと見る。近所のスーパーに買い出しに来た所で出くわした。学校からはそれなりに近いけど、こ…続きを読む
コールドスリープというのが、実際に存在するとは思わなかった。あれは、漫画やドラマなどの娯楽の世界にしか存在しない装置で、現実世界には存在しないもの。もし存在しても、まさか病気を治すための装置だとは誰も思わないだろう。 2060年になったばかりの世界では、母が生まれた時とは全く違う近未来の世界が存在した。日本の首都である東京は、ビルが母の時とは比べ物にならないほど建てられ、そのおかげでヒートアイランド現象が加速している。空飛ぶ車とかは無いけれど、自動車は全て自動運転だし、事故が無い平和な世界になっているのは確かだ。 そして母の時とは違うのがもう一つ。この世界に、病気療養としてコールドスリー…続きを読む
「おやすみ」が決まって、朝の台詞だった。辺りは真っ暗でも何でもない。明るい朝。だけれど、周りにとってそれは「朝」でも私にとってそれは「夜」で「おはよう」では無く、「おやすみ」なのだ。 私が見る世界は、昼夜逆転している。つまり、私は昼夜逆転の生活を送っているのだ。朝に眠り、夜に起きると言った方が分かりやすいかもしれない。私の中では、夜に眠り、朝に起きるという解釈なのだけれど。「おやすみ」 私はそう言って、自分の部屋へと戻る。両親はこのことに対して慣れてしまったのか、何も言わない。でもたまに昼夜逆転の生活を治したくて、病院に連れていかれはする。それでも私のこの生活は治らない。もう、慣れ…続きを読む