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学業が忙しくなっているため、あまり浮上しません。
▼受賞歴
◯ ABEMA『恋愛ドラマな恋がしたい』コラボコンテスト大賞
『jealousy』
動画: https://youtu.be/1LXLXvLvE50
◯ モノコン2021 TEAM JACKPOT賞 優秀作品
『ブルーバード・エフェクト』
エブリスタでも同名義で活動しています。
活動はこっちがメインです。
https://estar.jp/users/466122288
「知ってる? 月が赤く染まった日には、大災害が起きるらしいよ」 ふと、美羽(みう)が月を見上げながら言った。本で読んだ、と続けて言う。僕は美羽に釣られて月を見上げると、まん丸なお月様に向かって「へー」と呟いた。「もー、丈(じょう)くん信じてないでしょ?」 美羽が少し頬を膨らませながら言った。僕は「うん」と正直に言う。だって月が赤く染まっただけで大災害が起きるなんて、たまったものじゃない。光の加減で月が赤く染まるなんてこともあるかもしれないじゃないか。それに美羽が読んだ本というのは、きっとファンタジー小説か何かだろう。「ブラッドムーンって言葉あるの知ってる?」「何それ?」 …続きを読む
暑すぎだよ!! 心の中でそう叫びながら、梅宮一葉は酷い顔で自転車を漕いでいた。灼熱の太陽がギラギラとアスファルトを照らす7月下旬。夏休み前最後の登校日を終え、既に周りが夏休み気分に浸っている中、一葉は一人夏の暑さに鬱陶しさを感じていた。とても夏休みをエンジョイできるほどの心の余裕はない。冷房の効いた部屋に全身真っ裸で寝そべりたくてたまらなかった。 平坦な道が終わり、ついに最大の難関と言える大きな坂道に差し掛かると一葉は舌打ちする。登り慣れたはずの坂道も、こんな日になると足が動かなくて全然登れない。おまけに太陽との距離は縮まってさらに暑く感じる。死ぬぞ。このまま地球温暖化が進んだら人類…続きを読む
「悠理(ゆうり)ちゃん、おめでとう」 俺がはにかむと、悠理ちゃんが「ありがとう」と泣きながら言った。 日本アカデミー賞の授賞式で18歳の少女が最優秀主演女優賞を取ったのは初めてのことだった。最年少受賞である。小さい頃から子役として活躍していた悠理ちゃんは、幾度となく最年少記録を出してきたけどこれには彼女も驚いたようで、さっきから嬉し涙が止まらない。スピーチもあまりの嬉しさに言葉がつっかえていた。「郷(ごう)くんも新人俳優賞、おめでとう」「……ありがとう」 俺はちらっと貰った賞状を見ると、少しだけ口角を上げる。別にこの賞が嬉しくない訳じゃない。むしろめちゃくちゃ嬉しい。だってず…続きを読む
輪舞って大勢の人が輪になって踊ることをいうそうです。私はこのお題が出るまで、輪舞という言葉すら知りませんでした。 でも言い換えれば人と人とを繋ぐってことですよね。都合良く解釈させてもらいます。そうじゃないとこのエッセイが始まらないのでね。 はい、ということで皆様お久しぶりです。きつねです。最近はmonogataryでの活動を全くしていません。モノコンのために最近は書いていますけど、それ以前はボチボチという感じ。コンテストがあったら書くというような使い方をしていて、まぁそれはエブリスタでもなんですけど。昔みたいに気軽にお題を見て作品を書くということをしなくなりました。 まぁ、最近は…続きを読む
敬愛する読者様へ これからお話する物語は実際に私が体験したことです。今でも思い出すだけで恐ろしいですが、今日は特別に皆様にお話したいと思います。どうか最後までお読みいただけるよう、作者の私も誠心誠意を込めて書かせていただきます。 夏のとある日のことです。その日の私は心地の良い気分のまま外に出ていました。久しぶりに飲んだ酒に気分が高ぶっていたのです。気が付けば人通りの無い山奥にいました。 山奥には良い匂いを漂わせた屋台がありました。その日は近所で夏祭りが行われていたようで、私はおぼつかない足取りで屋台に近づくと店主が気前の良い声で私を出迎えてくれました。「御嬢さん。おひとつ如何か…続きを読む
「人を殺したときどんな気持ちだったんですか?」 そう言われた瞬間、俺の口角が下がる。さっきまで上機嫌だったのに、咲希の一言で全部砕け散った感じだ。俺がしばらく無言でいると、咲希は興味津々というような目で無邪気に眺めてくる。俺がへらっと笑うと、咲希が少し驚いたような顔をした。「急にとんでもないこと言うからビックリしたじゃないですかぁ。ゲームの話ですよね? そうだなぁ、現実世界だと何かしら恐怖は感じるんでしょうけどゲームなんで……特に思わないですかね」 咲希は目をパチパチと瞬かせると、口を開こうとする。何か言われる。遮るように「じゃ、先に戻りますね」と言うと、咲希から離れた。今、彼女と…続きを読む
職場にもカースト制度があるなんて、令和になっても有り得ないと思っていた自分が馬鹿みたいだ。学校の時は「スクールカースト」という言葉が昔からあったから承知していたが、職場にそんなカースト制度があるなんて思ってなかった。あったとしても、それはドラマ上での誇張表現の一つに過ぎなくて、大人がそんな馬鹿みたいなことしないだろうと思ってたけど。 多分、馬鹿なのは私の方だ。「すみませーん」 一人の男の声がした瞬間、私の周りにいた女子社員が皆目を輝かせて立ち上がった。「は~い!」と猫なで声で。皆してその男を取り合うように走って向かい、一番最初に辿り着いた人がその男の対応をした。他は憎むような視線…続きを読む
趣味というのは、いざ職業にしてみると面白くなくて、嫌になってくる。やっぱり趣味は趣味のままの方が幸せなんだ、とあの日の自分に言い聞かせたい。 バイトを掛け持ちしないと生きていけないほどの売れない小説家になって数年。デビュー作はヒットして、新人賞も受賞して期待されていたけど。でも気づけば人生は奈落の底に落ちていて、這い上がれそうにない。「新しく担当になった、前園です」 何度目かの担当チェンジ。その光景に私はもう慣れていた。本来ならきっと、小説家の私の方から必要ならば担当を変えてほしいと願い出るんだろうけど。私が経験してきた今までの担当チェンジは、全て向こうからの願い出だった。「もう無…続きを読む
「今までありがとう」 と、祖父が言った瞬間、涙が止まらなかった。そっと祖母の頭を撫でて、安らかな笑みを見せる。今まで見たことが無い表情だった。微笑とも何だか違う、言葉では言い表せない表情。それを見た瞬間、私は心がキュッとなって、あんなに我慢していた涙がダバァっと外に出た。マスクをしているから、その涙がマスクに染みる。鼻水も出てきて、でもティッシュなんて持っていないし、鼻を何度も啜ってその場を凌ごうとした。 長年共に過ごしてきた祖母が、先日他界した。前々から容態がかなり深刻な状態にあることは知っていたけれど、その知らせを受けてからの急変が私の頭では到底追いつけなかった。前会った時は私の結婚…続きを読む
じりじりと嫌気が差すくらいの太陽の照りに、全員が汗を額から滲みだしていた。女子高生はメイクを気にし、マダムたちは日傘を差しながらオシャレなハンカチで汗を拭い取っている。スーツを着たサラリーマンたちは、こんな暑くて死にそうな日にも必死になって営業に回っていた。 刈部陽太もその一人だった。全身暑苦しいスーツを着ながら重たい荷物を持ち、営業先を駆けまわっている。新卒で入社し、最初に派遣されたのは施工管理部だった。陽太が希望した営業部とは程遠い部署だ。だがそこから二年が経ち、やっと春の人事異動で営業部に配属された。それから数ヶ月、まだまだ夏を忘れることのない九月は死ぬほど暑い。残暑というやつだ。本…続きを読む