全作品で一つのミステリになっています。お楽しみいただくために、どうぞ発表順にお読みください(*^^*)!!(前から68作品目まで)
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花言葉さんが、ものすごく素敵な挿絵を描いてくださいました。現在のアイコンです。
https://monogatary.com/story/225413
謎解き後の午餐 カメレ本さんが物語を書いてくれました。
https://monogatary.com/story/215705
フーダニット カメレ本さんが最大の謎を解いてくれました。
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えぇ、そうよ。わたしの名前はマリー。え、本当の名前。そんなのどうでもいいでしょ。あの人がつけてくれた名前だけで充分。どうせ、名前なんてあってもなくても一緒だから。存在だけが重要なの。聞きたいことって、それだけなの・・・ちょっと残念。せっかくだから、色々お話しましょう。最近、誰とも話していないからつまらなくて・・・。知ってる? 話すことが一番、脳味噌に良いんだって。でも、味噌ってすごい表現ねぇ、ちょっと可笑しくなっちゃう。あの人とは、わたし、一年ぐらい一緒に暮らしていた。うん、あれは同棲って呼んでいいと思う。わたしは、あの人が好き。今でも大好き。こんなに好きになった人、初めてだから。…続きを読む
これは、レンタルショップで働く大学院生、牧野さんのお話だ。 牧野さんは、ミステリマニアの肩書きを持つ面白い人だ。ピカピカの革靴を履きながら、ひげ面で髪はぼさぼさだったりする。ミステリマニアで知的な人だ。 わたしと牧野さん、今日も深夜のレンタルビデオ屋さんでバイト中。いつものようにレジで立ち話をしている。 牧野さん、返却されたDVDをじっと見ていた。「何か、異常あったんですか?」「いや、このタイトル見ろ。川野はどう思う?」 DVDには、「ゴジラVSメカゴジラ」とある。「ちょっと懐かしいですね」「懐かしいか・・・。そんなん普通の答え方で小説家になれると思っているのか。…続きを読む
帰宅途中、拉致された。 後ろから、袋をかぶせられた。 だから、何も見ていない。 途中の記憶は、ほとんどない。 あるのは、何か薬を飲まされた、後頭部を殴られた、その二つの記憶だけ。 目覚めると、道路にいた。 たった一人。 道路の真ん中に・・・。 今、車椅子に座らされている。 足と腰が椅子に紐で固定されていた。 車椅子からは降りれない。 まったく不条理。 周囲を見渡す。 二車線の道路が続いている。どちらの方向にも、少し先にトンネルが見える。どこかの山奥なのだろう。気がついてから、まだ一台も車は通っていない。 頭が少し重かった。 意識も、まだち…続きを読む
魔導士は、【城】のテラスから空を見上げていた。 白くたなびく雲が見える。もうすぐ夜だ。空は青から濃い紺へ、徐々に色を変えていく。遠くには、もうわずかしか見えない夕日。少しずつ山陰に沈んでいく。「ねぇ、魔導士さん、もしかしてセンチメンタルになってるの?」 姫が、カクテルを片手に側に寄ってきた。妖艶な赤いドレス姿。肌に密着したそのシルクの布が、光を浴びて輝く。あまりの美しさに、思わずため息が出た。「ほら、魔導士もこっちにくるといいよ」 姫の後ろから、伯爵が声を掛けてくれた。やっぱり伯爵の声は綺麗だ。いつまでも聞いていられる。持って生まれた才能だ。伯爵から言葉が発せられると、ま…続きを読む
これは、ミステリマニアという肩書きを持つ男、牧野さんのお話だ。 大学生三年生の頃、わたしはレンタルビデオ屋でバイトをしていた。結構、大きいお店で、深夜遅くまで営業をしている店だった。 時間帯が遅い方が、バイト代は高い。しかも、お客さまの数も少なく、仕事も楽だ。わたしは深夜帯の勤務が好きだった。 同じ考えなのかどうか分からないが、よくそこで牧野さんと働いた。 面白い人だった。 大学院生の牧野さんは、いつもいい匂いがした。なのに、髪はボサボサで、ひげも生えている。そのくせ、靴だけはいつもピカピカの革靴だった。「牧野さんってちょっと変わってますよね」「え、どこが?」「なんで、…続きを読む
この物語は、愛おしくも変な四人組高校生の放課後を描いたものである。「優等生」高田百合、「穏やかな切れ者」指原歩、「オタク」眉田建造、「変人」高橋港の四人が奏でる演奏を本日もご堪能あれ! ♪♫♪♫ あー、何やってんだろう、わたし・・・。 この状況、ちょっとひくわぁ・・・。 わたし高田百合は、体育館の中央に並べられたパイプ椅子の一つに一人座っていた。今日は、金曜日。日曜日には、わが高校で学園祭が行われる。 体育館のステージは、演劇部が上演する「不思議の国のアリス」で使うセットで華やか。メインの森は結構リアルに出来ている。木々があり、本当に森の中にいるようだ。 でも・・…続きを読む
わたしを語る上で、外せない人物がいる。 彼の名は、丹坂杜氏(たんざかとうじ)。わたしの唯一無二の親友だ。 初めて杜氏とちゃんと話したのは、中学校一年生の夏だった。 その当時、私は本ばかり読んでいた。成績も悪くないし、友達とも仲良くやっていた。 別に、孤立していた訳でもない。ただ、本が面白くてやめられなかった。わずか十分の休み時間ですら、読書に当てていた。周囲には、少し変わった人だと思われていただろう。「そんなに本って面白いのか?」 不意に声を掛けられて驚いた。 顔を上げると、そこに杜氏がいた。野球部に所属していたので、髪型は坊主。目立つ性格ではなく、どちらかというと縁の下の…続きを読む
図書館には博士がいる。 僕は、いつものように県立図書館の入り口のドアをくぐった。市立図書館とは違って、とても高級感のある館内。少し赤くなった空が、ガラス張りの窓から見えた。冬なので、夕暮れが近い。 少し進むと、ソファが並んでいる。 そこに、博士がいた。僕が、図書館の博士と名付けている人だ。 博士は、40歳ぐらいだろうか。若々しく見えるときもあるし、老齢な感じのときもあった。いつも仕立てのいいスーツを着こなしている。髪はグレー。シルエットから、体に無駄な肉があまりないことが分かる。黒縁眼鏡から見える瞳は、どこか優しく、どこか冷たい感じがした。 博士とは、ここでしか会えない。…続きを読む
私の父は、和傘職人だ。一本一本、丹精込めて作る。傘を作っているときの父は、とても真剣で張り詰めている。でも、仕事から離れると優しい。穏やかで物静かな人だ。 それとは対照的なのが母である。母は、保険の外交員。コミュニケーション能力が抜群に高い。好奇心も旺盛で、新しものが大好きだ。スマホを使えない父とは対照的に、仕事用とプライベート用を上手に使い分けている。人とお話をするのが生きがいで、元気あふれるムードメーカーだ。 そして、私はこの父と母の一人娘だ。 三人一緒で、ずっと暮らしてきた。夕食は、いつもみんなで食べて楽しかった。母が、その日にあったことを面白おかしく話す。それを父が楽しそう…続きを読む
この物語は、愛おしくも変な四人組高校生の放課後を描いたものである。「優等生」高田百合、「穏やかな切れ者」指原歩、「オタク」眉田建造、「変人」高橋港の四人が奏でる演奏を本日もご堪能あれ! ♪♫♪♫ いつものように四人しかいない放課後の教室で、社会のテストの復習勉強中。 学年トップクラスのわたしが、いつものダメダメ男子三人組の指導をしている。「社会は、暗記教科。努力すれば点数は取れるはずなんだよ。それぞれ、みんな何点だったの?」 わたしの問いかけに、男子三人が一斉にうつむいた。 その態度にイラッとする。 それが伝わったのか、慌てて建造くんが自分の点数を言いだす。…続きを読む