家族って、家族として存在してきた情のようなものが底辺にあっても時には、腹立たしい存在だったり、鬱陶しい存在だったり、全く自分を理解できていない存在のように思えたりすることもありますよね。時には、いちばん本音を言えない相手でもあったり...それでも、他者から受ける家族の痛みが、自分の痛みのように思えたり、他者から受ける家族への批難が、自分が受ける批難よりも悔しさを感じたり、憤りを感じたりすることもあって、やっかいな存在。すべての人が、自分の家族に対して、そう感じるわけではないのでしょうが本人も自覚しきれていない中で、ギルバートが抱えている心の中の葛藤がたぶん、公開当時の自分…続きを読む
― 旅の発端は「夢」だったとしても、 旅で出会うのは現実である。 だが、その旅を持続させるのは、やはり「夢」である ―沢木耕太郎さんの著作 『天涯3』 にある一文です。明日への一歩...そこに踏み出していこうとするときそれは、夢を描き、抱き、叶えようと試みるところから始まるのではないかと思うんですよね。少なくとも、これまでの私の “次の一歩” は、いつも、そうやって始まっているように感じています。けれど、その踏み出していく一歩一歩の日々というのは描いた夢の輝きほど美しいものばかりではない。思うようにならないことに打ちのめされたり、悩んだり、嘆いたり思…続きを読む
今朝見上げた白い月は、あなたの空にも浮かんでいただろう。一緒に見上げられなくてもあなたの空にも浮かんでいただろう。あなたを暗闇から連れ出すそんな風に息巻いても自分の非力を思い知るばかりでもどかしさを持て余しては空を仰ぎ布団をかぶって朝を待つ。この奇妙な風が止んだらこの深い霧が消えたら繋がる道を見つけられるのかなぁなんて弱気になっていることもある。それでも今夜は偶然の神様を味方につけてまだまだ偶然に偶然を重ねてさらに永遠の偶然をねだっていく。そうしてどこでだって生きられる魔法を身に着けようと企んでる。今朝見上げた白い月はきっと…続きを読む
暗闇に輝く月を見上げ一面の雪原に佇む涙も凍るような風に吹かれかじかむ手のひらに息を吹きかけ一瞬の温もりを感じる いまにも零れそうな弱音波のように押し寄せる寂しさけれど手のひらを握り締め胸を叩き志を呼び起こす降り積もった虚しさに足をとられ息があがりバランスを崩しても一歩ずつ雪原に記す足跡はやがて暖かな春の訪れとともにその影を消し去り光りあふれる草原に色彩豊かな花を咲かせるいまこのとき凍れる涙を怺えればいまこのひととき凍れる日々を耐え抜けば …続きを読む
ふいに恋の便りが届くように ふいに失恋の便りも届く 選りすぐりの魔法の杖は傷口を覆う絆創膏 傷が癒えれば魔法使いは御役御免 誰かの幸せを一つ見届けて魔法使いは涙の粒を小さな瓶に詰めていく ふいに終わりを知らせる伝書鳩 優しく撫でて受け取ったよと鳩に託す …続きを読む
澄み渡る空。街の景観を作り出す石造りの彫刻が施されたホテルの窓からは、街の広場が見渡せる。広場の中央にあるこの街の功労者を称えた像を取り囲むようにデザインされた噴水の周りでは、色とりどりの風船を手に、子どもたちが幼い笑い声をあげながら戯れている。真っ白い鳩が、撒かれた餌を啄んでは大空に羽ばたいていく。その中で、鳩に触れようとした少女の手から離れた真っ赤な風船が、飛び立つ鳩を追いかけるように舞い上がった。それは、ほんの一瞬の出来事で、どんなに少女が手を伸ばしても、泣いて叫んでも、その真っ赤な風船が再びその手に戻ることはなかった。そんな少女の姿に、私はどこか自分の一部分を見てい…続きを読む
自信のなさを紙切れに変えて誰かと繋がろうとしている自分の良心を見限って人の良心を見くびっている自分を欺くようにまわりを欺いて本当は気づいている虚しさに怯えながら隠している芝居をしているのは誰だろう偽物なのは何だろうそこに裏切らないとそこに信じられると叫んでいるその紙の束とその紙に書かれた文字は風を渡るきみに穏やかな温もりをくれるのか涙があふれるような胸の熱さを与えてくれるのだろうか強い絆は心で結ばれているというそんな言葉を嘲っているけれどきみが心の底で欲しがっているものはきみが一番わかっているはず目の前でちらつかせて繋げられるよう…続きを読む