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ボクは、足早に"いつも"の場所へ向かう。真っ暗で静かで誰もいない、海。ここに来ればキミに会えるんじゃないかそんな微かで馬鹿げた願いを込めて、ボクはまたここへたどり着いた。この果てしなく続く暗闇に飲み込まれそうなこの不思議な感覚がたまらなく好きで、たまらなく嫌いだ。どこかから運ばれてきた流木に腰掛け、しばらく何も見えない暗闇を眺めたあとそっと目を閉じる。冷たい夜風が鼻先をツンと掠め遠くに聞こえていた波音がよりダイレクトに耳に響く。どれくらい時間が経っただろうか「おはよう。」波音か、キミの声かそんなことを確かめる間もないままボクは走り出していた。…続きを読む
ボクには、色が見えるクラスの中心的存在の人は、オレンジ気が短い人は、赤引きこもりは、くすんだ藍色その人を表す色だ東京はいろんな色がある東京はいろんな色を持つ人達に出会うそんな色が無色透明に見えなくなるときがくる張り詰めた糸がプツンと切れる瞬間ボクには、その人の最期が見えるでも、あのコには出会った頃から色がない最期にたどり着くはずの、無色透明目が合っているのに合っていない笑うことも泣くこともないどこか虚で寂しげな彼女をボクはもっと知りたくなった彼女に色をつけてあげたくなった今話題のパンケーキ何回観ても泣ける映画腹を抱えるイチ…続きを読む
ヘッッックシュンッッッ!!!あああくしゃみは止まんないし目は痒くて取り出して洗いたい花粉症持ちにとってこの時期は天敵だでもボクは少し特殊な花粉症持ちであるボクに"それ"が見えるようになったのは物心ついた頃くらいからだろうか春のにおいと花粉とともに彼女はボクの前に現れる色鮮やかな春に汚れ一つない真っ白なワンピースを身に纏ってちゃんと人の姿をしているちゃんと会話もできるでも"それ"はボクにしか見えない「あ〜ほんと花粉症つれぇ」「ねえ、そんなこと言わないでよ、 今しか会えないんだよ?我慢我慢っ」毎年このやりとりをしている気がするだから…続きを読む