夜行列車の小さな個室。ベッドの上から窓の外を眺めると流れるように景色が変わっていく。ゆっくりゆっくり、ゆっくりゆっくり変わる景色。私の足の上にはノート。8つの四角が板チョコみたいに並んだだけの変わったノート。無印で一目惚れして、他のノートと組み合わせて今も使っている。ある時には、自分の気持ちまたある時には食べ物感想。SNSで見つけた誰かの言葉とか色々……「私はなんの為に生きてるんだろう」模索し続けたここ数年。上手く伝わらない気持ちと無数のイライラ、迷い、不安、疑心暗鬼、被害妄想……どんな言葉で例えていいか解らないそんな感じのもがき苦しんだ数年だった。これが「モラトリアム」と…続きを読む
12月。雪とイルミネーションで彩られた大通り。そこから少し入った所に小さなアクセサリーショップが存在する。そこの店主は男性。彼が1人でアクセサリーを作り販売している。その店のショーウィンドウの中にはアクセサリーが並び、通りを行き交う人々の流れを見つめている。 ある日の事だった。1人の男がショーウィンドウの前で立ち止まりアクセサリーを眺めている。ベージュのコートを纏った初老の男性といった感じだろうか。彼が眺めていたのはネックレス。雪の結晶のモチーフが取り付けられたシルバーのネックレスで、今年の冬物としてショーウィンドウに飾っているもの。男は店主の顔を見ると少し驚きそのまま去ってしまった。 …続きを読む
「ふ~ん。ここがママのふるさと……」高層ビルの屋上で、一人の制服姿の女の子が街を眺めている。時刻は深夜2時。街は煌びやかに輝き、その光景を見せつけていく。「お嬢様!」「このままでは、旦那様に怒られてまいます!」そんな彼女の後ろで必死に説得する2名の男。髪の長い若い男と大柄な男。しかし、彼女は一切聞く耳を持たない。「パパの事なんて知らない!私は帰らない!」「でも、帰らんとブチ切れられるで!」「いいもん!ほっといて!!」そういうと、彼女はそのまま高層ビルから飛び降りてしまった。何の躊躇もなく……その頃……「桜姫……」「ちょっと、怒り過ぎたんじゃない?」ここは地獄。…続きを読む
夕方の街をママチャリで走り抜ける俺がいる。今月の俺の全財産“1万610円”それなりのスーパーで買い物していたら速攻で吹っ飛んでしまう。だから、あの場所に頼るしかない、あの場所に……PM5:30「着いた……」スーパーマルハチこの地域では“激安の宝庫”と言われる店で、店のあるこの地域だけではなく近隣の地域の人たちまで遠征に来るぐらい愛されているスーパー。しかし、夕方になるとここは戦場とかす。なぜなら“半額タイムセール”があるからである。ただでさえ安い商品が半額になるんだからそりゃ客が殺到するのは当たり前のだが、お勤め品(いわゆる見切り品)も対象となるのでさらに客が殺到するのだ。おかげで…続きを読む
ブチッ!皿の上で湯気を発するソーセージに思いっきりフォークを刺す。ブチっという音と一瞬フォーク越しに伝わる皮の破れる感覚が好き。噛んだ時にダイレクトに伝わる弾力感もたまらない。コノ感覚ガ、好キナノデス。蒸し暑いベランダ。梅雨明けのジメジメ感の残った空気の中で、茹で上がったソーセージとキンキンに冷やした缶ビールで昼間から一人晩酌。キャミソールの上から羽織った薄手のパーカー、ショートパンツ。長い髪を無造作にクリップで留めた”すっぴんの女”が昼間から晩酌タイムをしている。そんな無防備すぎる私がそこにいた。コノ感覚ガ忘レラレナイノ。ブチッ!口から体中に広がる皮の破れる感覚がたまらな…続きを読む
「あぁ……どっかから札降ってこねぇかな……」 人通りの少ない夜の住宅街。街頭と野良猫の鳴き声だけが存在するその場所を一人の男がトボトボトボトボと歩いている。少し猫背でかなりクタクタのスーツ。髪はボサボサ疲れが如実に現れた顔……男の背中には疲労感と悲壮感が漂っている。カツカツ……ボロアパートの錆びついた階段を登り切って現在のHPほぼ0。最後の気力を振り絞って家のドアに鍵をねじ込んだ。バタッ 部屋に入った瞬間、バックをぶん投げスーツをスッと脱ぎ捨ててベッド直行。コンビニで弁当買ったのに食べる気力なし。風呂入れる気力もなし。だが風呂だけは、せめて風呂だけは入らねばと意を決して風呂…続きを読む
朝、世界が一変していた。明らかにハロウィンの光景。今は7月、そんな時期に渋谷のスクランブル交差点的なことをするはずない。目の前の光景が信じられず、すかさずテレビをつける。私が思っていた以上に同じような“衝撃が走っている人”が大勢映っている。世界が一変した。私がいるこの街も例外じゃなく……。「どうなっとんの……これ……」床に寝転がる“おっさん×5”しかも、めっちゃ酒臭い。おまけに吐いてるし、床に……それぞれの特徴おっさん1→髪が赤い(ショートからセミロングくらいの長さ)細身おっさん2→黒髪(ショート~セミロングくらい)口髭顎鬚あり、厳つめのウォレットチェーンなどアクセが…続きを読む
「ある日突然、音符が女の子になった。」音楽それを形成するために必要なもの、音符。それは、演奏者が伝えたい思いを形にするために必要なものである。“ある日突然、音符が女の子になった”このお題を見て最初に感じた事。小説としてまとめるべきか?小説以外でまとめるべきか?ずっと悩んで、私は一つの選択肢を選ぶことにした。小説ではない、自分の言葉でまとめてみる。自分が好きで、自分が今まで聞いてきた“音色”を“一人の女の子”として表現するとしたらどうなるのだろうか?自分でも実験的な試みでやってみようと思う。だから、もし大多数と違う思考が出てしまっても批判しないでほしい。…続きを読む
(願望を潰し祈りを捧げ)貴方ニオ逢イシトウ御座イマスその言葉を告げることが出来ぬまま私は貴方を見失い 深い闇に落ちていくズットオ慕イシテオリマシタこの気持ちは封印するこの気持ちごと封印するこの言葉はもう届かないこの言葉は存在をなさない解っているから 嚙み砕いて壊した判っているから 噛み砕いて壊して溶かした飲み込んで 吸収して消した橙から蒼蒼から紫紫から黒私は貴方を見送って貴方は私を払い除けて互いの時間に戻っていく夕方6時 交わり続けた時を越えてドウカ 末永クオ元気デ…続きを読む
Twitterで途中まで書いていたのですが、長くなりそうだったのでこちらでまとめさせていただきました。「歌詞を~」シリーズ「音楽を女の子として表現してみると……」に関して自分の中で「これでいいのか?」「書くこと自体が失礼に当たっているんじゃないか?」など色々迷う事があって、少し書くのを止めてました。でも、他のモノカキさんの歌詞モノを色々拝見させて頂いたのと、私個人の事情など色々重なって、歌詞モノ再開しようと思います。実は「次世代作家文芸賞」用として歌詞モノを用意(monogatary,comさんにもメールで応募可能かどうか確認済みです)していたのですが、コンテストへの応募を取りやめ、…続きを読む