桜の花が空に舞うこの頃僕は風と会話するあの人の住む街を駆けてきたのか問いかける いま、どこで何をしているだろう笑顔も手のひらの温もりもあの頃と変わらないことを思って あの時全てを奪ってしまったというのなら償いと言う名の 今を送ろう僕はまた ゼロから始めるよ君の 明日への一歩は未来へと続く 桜の花が空に舞うこの頃僕は風と会話する不器用な生き方は変わらないよと語りかけて いま、どこで何をしているだろう溢した涙も 失くした希望もあの頃に忘れてきたのだと教えて あの時 君が全てを失ってしまったというのなら過ぎ去った日々を 全部あつめて僕はまた…続きを読む
ポケットの中の涙色ドロップス切なさに たちまちとろけていくよいつかの朝焼け手のひらで受けた陽の光のように儚く消えていく 手のひらの上の涙色ドロップス温かさに たちまちとろけていくよいつかの夕立に手のひらで受けた雨水のようにそっと揺れている僕は胸の中 深く この手を入れる驚くほど凍えた 冷たいその指先に君が背を向けた理由がわかる気がした 記憶の片隅 その残像さえ君は触れた途端に、消えていく壊れた砂時計 もう もとには戻せない指の間からさらさらと 思い出もこぼれて 瞳の中の涙色ドロップス明日への希望とともに輝いて見上げた いつかの星空沢山の…続きを読む
不思議な電話ボックスそれは、語りかけると君に言葉が届くという いま、どこで何をしてるんだろう「男らしくない」と、君に叱られてばかりいた未だ胸の傷も癒えぬまま未練ばかりの毎日を過ごしていた僕は 君との、思い出を例えるなら腕の中、抱えきれずこぼれる明日への希望まるでそれは美しき四季のよう花びらは桜色の風に舞いヒマワリは 輝く君の瞳を覗き込んだ あれほど大切にしていたのに、これ以上ないほどの愛おしさに溢れていたのにそうさ、時は巡り今こそ君に語りかけるよ僕は明日へと歩きだす今日という ここから不思議な電話ボックスそれは、語りかけると君への想…続きを読む
さぁ、あの断崖へおいで素晴らしい海原を臨み美しい海鳴りをこれ以上ないほど胸に刻んで ねぇ、いつかの杜へおいで地響きとともに明日へと紡がれるはずの「生命:いのち」がそっと薄れていくのをその瞳に焼き付けて 哀しまないでいい、悲しいことなんてないよすべてに迷ったら ここへおいで そう断末魔は頷いたそして、意外に優しく 囁いた まだ『絶望できる時間』は残されているだろう 最終楽章が 鳴り響くシンバルの吹雪が頬を張るティンパニの嵐が、胸を打つ 僕らは一体何故、誘(いざな)われるのだその時、僕は何処へ招かれるんだ…いざ、足を運ばざるを…続きを読む
今、正にキミのその言葉選びに采配が試される さぁ、文字の世界へ羽ばたけ! 美しく、可憐に柵やプライドなんて、必要ないだろう解禁!キミだけの熱いストーリーその、2分先に筆を取らない後悔がある!『monogatary.com』…続きを読む
イルミネーションが無機質な空間に反射するオフィスのフロアーには僕以外は誰もいなくて、聖夜とはこんなに寂しい夜なのか… 頭上のひとかたまりの蛍光灯はスポットライトのごとく僕を照らしいま、舞台俳優さながら可哀想な一人の男を演じられるぜこの身からこぼれる輝きは、決して美しいものでなくて昨日まで少年だった僕が見た、儚い夢たち こんなに大勢が一人の生誕を祝うんだちっぽけな僕を愛おしく包み込む暖かさくらいきっとどこかにあるさ、と考えて…たとえば僕の生まれたその昔から僕を心から祝いたいと願う誰かはどこにいるかと、考えて…一人、大きなからくり時計に施錠する …続きを読む
ある朝、目覚めると私はホラー映画さながの、化け物になっていた。 いつものように、跳ねた髪を手ぐしで整えながら洗面台へと向かう。大好きな泡立たない洗顔料を手のひらにぬゅっ、と取り、顔面に塗り終えた後は素早く水で流す。手探りでフェイスタオルを手繰り寄せ、柔らかい生地に顔を押し付けたら、柔軟剤の良い香りを存分に楽む。そしていつも通り、中腰だった体を伸ばして壁に据え付けられた鏡を見た。 …。 私はどこにも見当たらない。タオルで顎の辺りを押さえた、怖い顔の何かが写っている。そして、なぜだかキョトンとこちらを見ていた。 『あれ?』 おかしいな…夢じゃないよね?…きっと。頬の…続きを読む
その光景を目にした僕は、一瞬にして「じぃちゃん」のファンになった! 『すっごい!じいちゃん、カッコいい!!』 じぃちゃんは秋も深まりつつある、よく晴れた日の午後、総勢5人の仲間とホームの「デイルーム」で演奏をしていた。僕は今日、ホーム主催の「長寿郷きらめき 秋の芸術祭」と言う名の、コンサートに招かれたんだ。じぃちゃんは「ホームからの発表の部」に出演していた。その演奏の光景と言ったら!すごいの一言! 『じぃちゃん、すげぇやー!』 僕の瞳は、きっとものすごくキラキラしていたに違いない。…続きを読む
僕は長い航海の果て海の生活にも慣れたところで、仲間達とデッキに寝転がった腹にはカモメが乗っかって来る、そんな生活を好きでいた。ところが、ある晩の事だ。今まで経験したことのないひどい嵐に見舞われた。恐怖と、容赦なく襲い来る真っ黒い固まりに震えた。何も見えない、聞こえない。無声映画のように、海に投げ出された仲間の姿だけが波間に見え隠れする。僕は甲板の手すりを掴む手のひらに、全ての力を込めた。懐中電灯のような、まあるいオレンジ色の灯りが頬を掠めた気がした。それはしだいに力強くはっきりとたなびき、僕らの船は三姉妹の灯りに導かれた。しかし、たどり着き一命を取り留めたのは、僕一人だけだった…続きを読む