みなさんこんばんは。初めましての方もいるかな。曰蘿町と申します。もうあと1時間と少しで2020年も閉幕しますね。お疲れ様でした。自分がmonogatary.comに投稿を始めるきっかけとなったのは、YOASOBIの夜に駆けるとの出会いです。そして、楽曲の原作者になれるYOASOBIコンテストvol.1の存在を知りました。そして1月より開始しました。最初は不安で仕方なかったです。というのも、大学に入ってから本は1冊しか読んでおらず、小説ってどんな書き方だっけ?という状態だったからです。でもなんとか書けてます。そんな自分が選ぶ今年一番の自作は、やっぱり作りすぎた料理を毎日持ってく…続きを読む
何回目の泣き虫だろう。高速バスを降りて、市役所から中古車販売店までにかかる橋を渡る。3月から始めた就活も気づけば9ヶ月と4日経ち、計45社受けたがどれも最終に行けずボロボロと枯れていく。友人たちは、1、2社で受かり、残りの大学生活を謳歌している。それに比べ、僕は寒空の中を下を向いて歩いている。面接で言われるのはどれも、マイナスな意見ばかりだ。「暗いね」「どうかな...」「本当にやりたい?」バイトが接客業だったこともあり、就活も全部接客業で受けてきた。ホテルや店舗スタッフを中心にやってきたが、全て虚しく終わりを告げてきた。この400mの長い道のりの先にある明かりには到底…続きを読む
あめ-けし【雨消】アメケシ 名 雨の日にいなくなること。引っ越し終わりの次の日、散策中ふらっと入った古本屋さんに置いてあった辞書をおもむろに開いたページに奇妙なワードが記されていた。僕の頭には電池切れの閃きが羅列していた。聞き慣れない言葉だった。雨の日にいなくなるなることとわざわざ辞書に書いてあることが不気味だ。しかも、2018年に出版された最近の辞書に書いてある。昔だったら多少こういうものが書かれていても不思議には思わないだろう。僕は真相を確かめるため帰宅し、前の学校で使っていた2019年出版の辞書を一目散にめくった。しかし、そこには何も書いていなかった。「何で書いてないの?」…続きを読む
卓球部の練習は、体育館の周りを10周走るところからスタートする。走ったあと、体育館に戻り、ストレッチをして、シングルス、ダブルス、試合形式の練習をする。僕は正直、走りたくない。卓球は得意だけど、走るのは苦手だ。卓球部で1番足が遅い。今日も一周遅れでゴールするんだろうなと憂鬱な気持ちになりながら、走り出した。息は上がらないのに、足が遅い僕の身体は相当たちが悪い。そんなことを考えていたせいか、少し凹凸のある黒い地面に躓き、転けてしまった。膝から血が流れ出した。痛みで顔が引きつった。「北窓!大丈夫か」「北窓くん、うわ痛そう」「うわ〜これはやべー」「先輩、大丈夫ですか?」「立てる…続きを読む
ここはかつて有人駅であったが地域の過疎化とともに無人駅となった。しかし、今年新卒で入社したこの新寄ヤマドリ鉄道、通称ヤマ鉄という小さな鉄道会社の方針で、かつて有人駅だった無人駅に再び駅員を置いてみようという方針になり、僕はこの「橙樹駅」に送られた。橙樹駅は、年間の利用者数が1人となっていた。ヤマ鉄は、全15ある駅の中で一番乗降者数が少なく、最寄りの地域まで、車で片道20分、徒歩で2時間かかる。ヤマ鉄は、2時間に1本のペースで運行している。始発は朝の6時、終電は夜の9時と田舎鉄道は、都会と違い少ない上にすぐ終了する。初日が始まって、現実を突きつけられた。駅舎は寂れ、切符入れは錆で茶色に、駅…続きを読む
隣人とは本来挨拶等をたまに交わす程度の文化で良いはずだ。しかし、ボクの隣人は、別の文化をわんさか持ってくる。最初は嬉しかった。でも、永遠に続かないでくれと願うことになるとはあの時のボクは想像もしていなかっただろう。ボクと隣人の奇妙なお話です。…続きを読む
自責の念に苛まれる。3月18日、私の心臓は締めつけられる。卒業式に向かう中学生を見ると、無意識のうちに涙が零れ落ちる。家の目の前の土手に並ぶ桜から、風に負けて花びらが舞い落ちていく。過ちは、目の前に投影された。今年も過ぎ行く春を眺めて、ほかほかの陽に慰めてもらっているあなたがいるような、そんな気がした。…続きを読む
「友達って何かとか親友って何かとかよく考えるんだよね。」哲学的な女の子だった。久しぶりに会った2日後、霞む暖房から出る埃がうっすら舞い落ちる早朝のこと、LINEで高岡の訃報を知った。僕は、泣かないと決めていたのに泣いてしまった。高校生のくせに名前のない何かから高岡を救えなかった自分が悔しくて仕方ないと思えば思うほどその無限ループから抜け出せなくなり、僕の脳が発作を起こしたのだろうか。通夜には、親類以外で学生は僕と高岡の友達が3人ほどしか来ていなかった。棺に納められた高岡は僕から見たら穏やかに見えなかった。しかし、僕がこのような考察をしたところで彼女に何があったのか分からない。だけど…続きを読む