この世で一番愛してるいつまでも一緒だよLove youLove youやっぱり君しか考えられない大げさかもしれないけど歌うよ君のために…続きを読む
僕は毎年夏休みには1か月くらい祖父母の家で過ごしていた。僕はその1か月が何より楽しみだった。僕の祖父は漁師で、毎朝船を出して漁に行っていた。夕方、祖父が帰ってくる時間になると、僕は決まって港まで行き祖父の船が帰ってくるのを待った。夕日が白い灯台を橙色に染め上げ、心地よい夕風が僕のほほをすり抜けて山の風車を回した。僕はこの町のこの時間が何よりも好きだった。ある年の冬、祖父が腰を痛めたという知らせを聞き、僕は列車を乗り継ぎ祖父の家にお見舞いに行った。ベッドで寝ている祖父は僕を見るとかすかな笑みを浮かべた。かつて大量の魚が入った網を持ち上げていた腕は、しばらく見ないうちにほっそり…続きを読む
「20歳の誕生日おめでとう!」ホールケーキのろうそくに火を灯すと父は言った。「ありがとう。」僕はそう答えると勢いよく息を吹きかけた。火が消えると、胸の奥から抑えようのない悲しみが流れ出た。「母さんにも見せたかったな。」母は僕が10歳の時に病気で死んだ。もちろんその後10年間男手一つで僕を育ててくれた父には不満なんかない。それでも、毎年この日になるとケーキを囲む人の少なさにどうしようもないさみしさを感じてしまう。電気をつけると、父が僕の前に立っていた。「成人祝いだ。」そういうと父は僕に封筒を渡し部屋を出て行った。封筒には見覚えのある字で僕の名前が書かれていた。母さんの…続きを読む
「ねえ、ちょっとだけすべる話してよ。」彼女はいつものように僕に無理難題をふっかけた。家が隣同士なこともあって、彼女とは昔から家族ぐるみの付き合いがある。おまけに小中高と同じ学校なので、当たり前のように毎朝一緒に登校していた。そしていつからか、彼女はこうして毎朝僕にお題を投げかけるようになった。昨日は確か『抱腹絶倒する話』だった。僕は一度も彼女のお題に答えられたことがない。「ちょっとだけすべる話ってどういうこと。ふとんがふっとんだみたいな感じ?」「それじゃあ完全にすべってるじゃん。もっと絶妙なすべり具合のやつが聞きたいの。」「ってか、何でいつも俺ばっかが話を考えなきゃいけない…続きを読む
2014年7月13日今日もイツメンでいつもの森でパーティーみんな最高!!2015年7月13日最近森にときどき2足歩行の変な生き物が来るようになった挨拶もなしに俺らの森に入ってくるなんて生意気だぜ2016年7月13日最近森が騒がしいときどき地面も揺れてる2017年7月13日森の木がどんどん減ってくイツメンも何人か引っ越しちまったでも俺は最後まで残るぜ!2018年7月13日もうこの森じゃ生きていけないグッバイマイホーム2019年7月13日ここに来てしばらく経つが、あいかわらず2足歩行のやつらには慣れねぇここじゃ飯を食うのも命懸けだふるさとが恋しい…続きを読む
放課後の教室に僕と友人はいた。お互い暇で何もやることがない。僕は何気なく彼になぞなぞを出してみた。「パンはパンでも食べられないパンは何でしょう?」「あんぱん」「それはお前の好みだろ。正解はパンツです。」「はあ、ふざけんな。あんぱんの方が食べられねえよ。」「じゃあお前パンツ食えるのかよ。」「ああ、そんなの余裕だぜ。」「じゃあ食ってみろよ。」「いいぜ、その代わり食えたら1万円払えよ。」「ああ、乗った。1万円だろうが10万円だろうが払ってやるよ。」「言ったな。約束だからな。」そう言うと彼は教室を後にした。30分ほど待ったが彼は帰ってこなかった。僕は荷物をまとめ、家に帰った…続きを読む
修学旅行1日目の夜、同じ部屋になった男子4人が怪談話をしていた。ところが一人の男子が、どんな話にも全く怖がる素振りを見せませんでした。「お前怖いものとかないの?」一人の男子が聞きました。「俺は友達が怖い」その男子はそう言うと、友達がいかに怖いかを熱弁しました。そうしているうちに見回りの先生がやって来て、4人はとっさに寝たふりをしました。先生が去っていったので、またその男子の話を聞こうと3人が起き上がると、彼はもう眠っていました。すると残った3人はこれ幸いにとその男子を怖がらせる計画を立てました。翌日以降、朝食の時から観光中、風呂の時間も夜眠る瞬間までクラス中の男子が絶えず彼…続きを読む
僕は体から火を出すことができる。だからといって何もいいことはない。確かに初めて火を出した時はすごい、かっこいい、とか思った。しかし、全世帯にガスが普及し、コンビニで100円のライターが売っている現代日本において火をおこす必要があるときなんてまずない。そのうえ、危ないからと誰も僕に近寄ろうとしない。「おい、火起こし。あっち行けよ。」”火起こし” それが僕のあだ名だった。僕はいつも校庭の端っこで、楽しそうに遊ぶみんなを眺めていた。「ねえ君、火を出せるんだって」声のする方を見ると、一人の女の子が立っていた。僕はびっくりした。物珍しさで話しかけてくる男子はいても、女子が話し…続きを読む