「うぅ、寒〜いっ。こんな日は、ホットレモネードでも作ろう。」ある寒い朝。カーテンを開けると、一面銀世界になっていた。これでは寒いはずだ。私は、キッチンに行くと、冷蔵庫からレモン1個と蜂蜜を取り出し、レモンを包丁で半分に切って、絞り出す。これに蜂蜜を適量入れて、お湯を入れてかき混ぜた。レモン特有の爽やかな酸味を感じさせる香りが立ち上り、ほんのりと甘い蜂蜜の香りが漂ってくる。私は、出来上がったホットレモネードをリビングに持っていて、ソファに腰掛け、ゆっくりとホットレモネードを飲む。口から喉にかけて、心地良い甘酸っぱさが伝わっていく。《ダバダ~ ダ~ア》「ふぅ・・・・。」…続きを読む
今日も穏やかな一日。昼下がりの午後の教室で、俺はぼけーっと、自分の席から彼女を見ていた。彼女は、酒井夏鈴。サラサラのロングヘアが美しく、顔も小柄でまるで人形のように可愛らしく、クラスメイトどころか、学校中で大人気だ。そう、彼女はヒロインである。夏鈴の周りには、多くの生徒たちが集まってくる。それは、男女問わずにだ。俺は、彼女とは中学時代から同じクラスで、同じ高校に進学して、高校2年の時に再び同じクラスになった。彼女に話しかけた事はあまりない。中学の時に、挨拶や学校の行事で同じ班になって、意見を出す時に話したぐらいな気がする。夏鈴の周りに集まっていた女子の1人が「夏鈴って、あの…続きを読む
《2030年》世界中では、仮想現実はリアルの一部になっていた。仮想現実向けのサービスが多数展開されており、日本では、MMORPG「ギガロス」が人気を博していた。ギガロスは、基本無料で提供されているゲームであり、マカロンと呼ばれるゲームポータルサイトにアカウントを作成すれば、遊べるようになっている。ギガロスでは、人間・エルフ・ドワーフ・各種モンスターやフェアリーなどあらゆる人種・亜人・精霊などからキャラクターを作成する事が可能だ。職業も、騎士・戦士・魔法使い・盗賊・遊び人・鍛冶屋などバリエーションに富んでいる。経験値の上げ方は、モンスターを退治したり、依頼をクリアしたりといったオーソドック…続きを読む
《2021年7月》「みんな!今日は来てくれてありがとう!みんなの為に紗耶、頑張るから!」1000人規模が入る事が出来るライブハウスで、北野紗耶はステージ上から声援に応える。彼女は、17歳の高校生。そして、アイドルだ。白を基調としたフリルを活かしたステージ衣装には、胸元やウエストなどに青いリボンが施されている。紗耶の自慢の髪は、こちらも青いリボンでツインテールに纏められている。左腕には白いシュシュ、右脚にはピンク系統のガーターリングを装着している。紗耶のステージは、ファンの間で人気のアッパーチューンな曲「ラブラブシンクロナイゼーション」から始まった。ファンたちのボルテージが上がっ…続きを読む
昼下がり。昼食を食べた後の午後の授業は睡魔が襲う。一翔は、睡魔に襲われて眠ってしまった。「ここは、どこだ?」普段見慣れた街ではあるようだが、どこかいつもと雰囲気が違う。不気味な静けさを感じていた。一翔は、教室で居眠りをしていたはずだ。しかし、実際に見ている感覚があったし、暑さを感じ、風が時折、顔や肌を撫でていく感覚があった。ここは、一翔が住む街の中心部だった。不気味な静けさは、人がいない事から生じている事に彼は気づいた。そして、いつもの街とは違う点は、「現代」では見られない先進的なテクノロジーが使われていると思われる物、例えば、車や建物のディスプレイなどが現代の物とはかなり違って…続きを読む
「ゆうちゃん、何食べたい?」琴子は、洋食屋「南風」のショーケースの前で、10歳の息子の悠斗にランチで何が食べたいのか聞いた。「う〜ん」悠斗は、少し迷っていた。しばらくして、彼は母に答える。彼の中では、いつものアレ以外に結局選択肢は無かったのだ。「エビフライ!」「じゃあ、ママもゆうちゃんと同じのにしよ」琴子と悠斗は、店に入る。店内は、昭和レトロの佇まいで雰囲気が良さそうだ。「いらっしゃいませ、お二人ですか?お好きなお席へどうぞ」20代ぐらいと思われる気の良さそうな女性の店員が2人を出迎えた。店には、幾人かの客がそれぞれが注文したメニューを堪能しているようだった。琴子は…続きを読む
※元2chのひろゆきは、ツイッターの事をトゥイッターと呼びます(^_^;)真奈美は、SNS「トゥイッター」に新しいトゥイートを投稿した。『今日は、加奈子と今話題の店で、パンケーキを頼んだの(≧∇≦)/美味しかったよ(^^)』そのトゥイートには、カメラの方に向けられたフルーツと生クリームがたっぷりのパンケーキと真奈美がウィンクをしている写真が添えられていた。彼女は、人気のトゥイッタラーで何万人のフォロワーがいた。瞬く間に、投稿したトゥイートに「いいね」とリトゥイートがされて拡散された。リプ欄には、「今日もかわいいですね」「パンケーキ、美味しそうですね。」という内容の意見がた…続きを読む
今日はクリスマス。でも、サンタさんが来なかった。何でだろ?その頃、サンタ業界では・・・。サンタA「この頃の家は、煙突が無いのおう・・・。しかも、どこもかしこもオートロックで家に入れなくなった」サンタB「防犯の為らしいが、オートロックだけじゃなくて、監視カメラもあちこちにあるので、警官にしょっちゅう職質受けるんじゃ・・・」サンタC「ガラス張りのビルが多くて、空が映り込んで、空だと思っていたら、いつの間にかぶつかっているし」サンタD「少子高齢化で、歳を取り過ぎて、サンタのなり手も減っていますしね」サンタE「タワーマンションが出来て、世帯数が多過ぎて、どの階に行けば分か…続きを読む
『浩二、先週観た映画面白かったね!また今度観ようね♡』(未読)『そうそう、私ね、気になる服を見つけたの(^^)今度、買い物付き合って、ね?』(未読)『私ね、浩二の事が大好きよ♡』(未読)『浩二、最近連絡なくて、さびしいよぉ(´;ω;`)』(未読)『聞いて、私ね、仕事がうまく行って上司に褒められたの(^^)浩二も褒めて?』(未読)『今度、泊まりに行っても良い?私の特製ビーフシチューを作っちゃおうかなあ(^^)』(未読)『どうしたの、浩二?何で連絡してくれないの?』(未読)『浩二は私の事、好き、嫌い?』(未読)『返事待ってるよ(^^)』(未読…続きを読む
「好きです!」花音は、誠人に自分の想いを伝えた。聖夜、街はイルミネーションに彩られ、空から白い粉雪が舞い落ちてきた。花音は、誠人と同じ高校に通う高校1年の女子高生だ。誠人は、花音が所属するテニス部の1年先輩であり、スポーツ万能で学力も高く、容姿も良かったので女子から人気があった。そんな誠人に、花音も次第に恋をしていった。2学期になって、秋が深まってきた頃。ある日、花音はいつものように部室の方に向かっていた。花音が通う学校は、公立高校で学区内でもトップクラスの進学率を誇っていた。単純に、勉強だけではなく、部活動にも力を入れている生徒が多い。その為、この学校では多くの生徒が文武両道…続きを読む