「人を殺したときどんな気持ちだったんですか?」耳元でそう囁かれた俺は、首筋の鳥肌と冷や汗を気取られないよう、とっさに頭を咲希の口元から遠ざけた。「ちょっ、くすぐったいですよ。」俺はさがりかけた口角をあげ、囁かれたほうの耳を手でこすりながら、できるだけ自然に微笑んだ。「フフッ。」咲希はイタズラっぽく笑うと、トイレの方へ歩いて行った。俺はあえて咲希の背中を見送らなかった。もし振り向かれて目が合ったら何かを感付かれると思ったからだ。オフ会の席に戻るまではほんの数秒。席では咲希以外の四人の女子が、何やらギャハハと盛り上がっているが、俺はそれどころではなくなった。…続きを読む
「おいっ!しっかりしろっ!」「う・・・あぁ・・・・。」「こらっ!死ぬんじゃないっ!お前が死んだら世界中の人が悲しむ!」「あぁ・・・もう俺はダメだょ・・・。」「今まで一緒にやってきたじゃないか!俺を独りにするな!俺独りじゃダメなんだよっ!」「だって・・・もぅ・・・。」「あきらめるなっ!そうだ!どうすればいい、どうすればお前は死なない?俺は何をすればいい⁉︎」「あ・・・ぅ・・・。」「えっ!何?なんだって?」「ありが・とぅ・・らい・じん・・・。」「風神?風神⁉︎ふぅ〜〜じ〜〜〜〜んっ‼︎」 その日、世界中の風が止んだ。 大気の循環が止まり、海の波も消え…続きを読む
あたしは佐藤静恵、小学4年生。 魔法少女の仕事には大分慣れてきたけど、全然慣れない食べ物がある。 ピーマン。 お母さんに言われて嫌々口に入れるけど、何回食べても美味しいと思えない。 見るのも嫌。 どんな料理にしても、どんなに細かくしても好きになれない。 お母さんが見てなければ残してしまう。 隙を見てゴミ箱に捨てたこともあった。 食べ物を捨てることがいけないことだってことはわかってる。 世界には食べ物に困っている国があったりフードロスが問題になっていることも知っている。 でもあたしはどうしてもピーマンが好きになれない。 苦いし、鼻に抜ける変な香りも嫌。 お父さんやお…続きを読む
私は佐藤静恵、小学4年生。 魔法少女になって半年以上が過ぎた。 季節は秋。 なんかこの頃、魔物退治の指令が頻繁になってきている。 夏休み中のクジラ型魔物以来、強敵は出現しないけど、小物でも前より手強くなっている気もする。 先日もネズミ型だと思って油断してたら、すばしっこくて、思い通りの攻撃ができなかった。 なんとか倒せたけど、地面で踏ん張った時、足首を捻挫しちゃった。 魔法マスターレイナが言ってたけど、これから他の魔法少女の応援をもらったり、逆に応援するのが増えるかもしれないって。 そんなのが続いたら、体がいくつあっても足りないや。 小学校の勉強だってしなくちゃならないし。…続きを読む
あたしは佐藤静恵、小学4年生。 魔法少女になって初めての夏休み。 宿題はいっぱいあったけど、お盆までには何とか終わった。 お盆明けの今日は家族で一泊旅行に行く予定だったから、宿題は絶対に終わらせたかった。 宿題も魔法が使えれば簡単なんだけど、任務以外で使うと命を取られる掟だから自分の力でやった。 当たり前だけどね。 ただ心配なのは、旅行中の指令。 魔物退治の指令はあたしの都合に関係無くいきなりくる。 旅行中にきたらどうしよう。 今までの指令は放課後や真夜中など、誰にも会わずに出撃できた時間帯が多かった。 でも旅行中だとずっと家族が一緒にいる。 魔法少女のことは家族にも秘…続きを読む
あたしは佐藤静恵、小学4年生。 部活はやってないけど、魔法少女プリティシズエに変身して、魔物を退治してるんだ。 魔法少女になって3か月、週に1回のペースで魔法マスターレイナから魔物退治を命令されるけだけど、今のところ弱い魔物ばかりだから簡単にやっつけてる。 どんなに弱い魔物でも、放っておくと人に取り憑いたり、悪いイタズラをするので退治しなくちゃならない。 それが魔法少女の使命なんだ。 魔物のほとんどは圧倒的に弱いって聞いてるんだけど、初めて戦ったティラノサウルスみたいな魔物は例外的に強かった。 先に1人で戦っていた先輩魔法少女のキューティケイコさんも手こずっていたから、あたし1人…続きを読む
マモル「ア○パンマン、知ってるだろ?」シゲル「もちろん知ってるさ。国民的アニメだよな。」マモル「悪役のバ○キンマンは悪さをして、毎回ア○パンマンのア○パーンチで遥か彼方に飛ばされている。」シゲル「そうだな。定番だな。」マモル「どうしても知りたいんだ。」シゲル「飛ばされた先をか?」マモル「バ○キンマンは、あんな酷いお仕置きを受けても、次の回には、ア○パンマンと妙に仲良くなっている。」シゲル「そう言えばそうだな。」マモル「ア○パンマンだってそうだ。あれだけ敵扱いしておいて、なんで仲良くなれるんだ?」シゲル「そこは子供向けだし・・・」マモル…続きを読む
あたしは佐藤静恵、小学4年生。 交通事故で死にそうな時、魔法マスターレイナに助けてもらい魔法少女になった。 死にそうだったのに、急に元気になっちゃって、家族や医者はびっくりしてたけど、魔法少女になったのは秘密。 魔法少女の使命は魔物退治。 レイナの厳しい訓練を受けたけど、まだ実戦経験がないから少し不安。 今日もいつも通り小学校に登校したけど、いつ命令がくるのかわからないから、教室にいたって勉強どころじゃない。 とりあえずもうすぐ給食。 今日は大好きなチクワの磯辺揚げだから楽しみ。ピロリロリーン ピロリロリーン うっわ!きちゃった。 戦闘準備命令の警報音。 教室の中で…続きを読む
あたしは佐藤静恵、小学4年生、9歳。 交通事故で死にそうだったけど、魔法マスターレイナに助けられた。 でもその代わりに魔法少女として登録させられて、プリティシズエとして働くことになっちゃった。 でもまだ魔法少女の任務も掟もよく聞いてないの。「じゃあ説明するからよく聞いてね。メモはダメよ。万が一、紛失されると困るから。」「わかりました、マスターレイナ。」「魔法少女の任務は魔物退治。今、日本には6人の魔法少女がいて、各担当区域で魔物と戦ってきたの。シズエは7人目ね。 私は、その7人を監督する日本支部長ってとこね。」「日本支部ってことは、他の国にも魔法少女がいるってことなの…続きを読む
ピロリロリーン ピロリロリーン なんだろ? なんの音だろ?ピロリロリーン ピロリロリーン だんだん大きくなってるみたい。 クレッシェンドって言うんだっけ?だんだん大きくなるの。 デクレだっけ? ピロリロリーン ピロリロリーン ピロ・・・ あれ? あたし、ベッドに寝てる? よく見えない。 体が動かない・・・ ここどこ? ・・・病院?「静恵〜っ、静恵〜っ。」 お母さん? 泣いてるの? あたし、どうしちゃったの?「静恵ちゃんっていう名前なの?」 え? あたしの上で、おねえさんが浮かんでる。 おねえさん、誰? 黒いドレスに黒いトンガリ帽子。…続きを読む