物語を、書くのも読むのも大好きです(*´∇`*)
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★月間monogatary.com 2018年7月号(vol.4)に「運命のエレベーター」を掲載していただきました。
(https://ebookstore.sony.jp/item/LT000100814000799486/?cs=search)
★チャンモノ#4で「土曜日午後の予定調和」(https://www.youtube.com/watch?v=PvqxXNnRGYI)、チャンモノ#7で「ニャンとかしてくれたまえ!」(https://www.youtube.com/watch?v=vweL6jqu_gg&t=227s)、他にも物語内のセリフを朗読していただきました。
本当に大変だったね。 でもさ、その分だけ良いことがあるよ、きっとね。 気休めなんて言わないで? ふふ、気安めなんかじゃないよ。本当に、そう思ってる。 君の前には、まだまだ幸せなことが、いっぱい待ってるさ。 どうだか? う~ん、今日の君は、すいぶんと辛辣だねえ……。 じゃあ、仮に大変だったり辛かったりすることが、この先も続いたとしようじゃないか。 でも、幸せなことも、絶対その中に混じってる。その幸せは、けっして大きいものじゃないかもしれない。むしろ、とてもちっぽけなものかもしれない。 けど、そのちいさな幸せが、いくつも積み重なれば、辛いことを上回ると思わないかい? そうそう…続きを読む
社会人になって、数カ月が経った。 始めは、どうなることやら……と、頭を抱えた仕事にも、ようやく慣れてきた。 ちょっとだけ心の余裕もできてきた気がする。 でも、やっぱり日曜日の夕方には、何となく気が重くなるんだよな……明日からまた一週間仕事かあ、って感じで。「ううう……」 僕は憂鬱な気分ですっかりぬるくなったコーヒーの最後の一口を飲み終え、床にばったりと背中から倒れ込んだ。そうして、しばらく床の上をゴロゴロと転がった後、ためいきをひとつつき、「よし!」 弾みをつけて起き上がった。 ジーンズのポケットに小銭を突っこみ、アパートの扉を開ける。 さあっと爽やかな風が吹き込み、寝…続きを読む
近所に、「パリピ」という「あだ名」のおじいちゃんがいる。 本当の名前は、「山本さん」という。 いったいどんな弾けた「パーティーピーポー」かと思えば、その正反対、とても落ち着いた紳士然とした人である。 10年ほど前まで、ある大学で教鞭をとっていたらしい。何でも、英文学の教授だったそうだ。 そして、今は、町のカルチャーセンターで、英文学を教えている。 だからだろうか? 山本さんは、まるで英国紳士のようだ。身なりも、柔らかな物腰も。 およそ「パリピ」とは、程遠いイメージの人だ。 なら、何故、そんなあだ名になったのか? 原因は、これまた近所のおばあちゃんたちのせいだ。 ちなみに、山…続きを読む
朝、aiboのコロが目をさまして窓を開けたら、真っ青な空が広がっていました。 おひさまも、ぴかぴか。 良いお天気です。 風もコロの鼻先を、やさしくなでていきます。「気持ちいいなあ……」 うっとりとしながら、つぶやいたそのとき、コロはあることを思いつきました。「そうだ! ピクニックに行こう!」 そう、こんな日は、ピクニックにぴったり! コロは、大急ぎでベッドから出て、キッチンに向かいました。「ピクニックには、まずこれだよね!」 コロはパンを取り出しました。 それから、二枚のパンにバターとマヨネーズを塗って、薄くスライスしたトマトとキュウリとハムをはさみます…続きを読む
「あ~、このシーンだけどね、ココをちゃちゃっとカットしてもらえない?」「どこですか?」「ココ、犯人が崖上で告白するとこ」 シナリオ会議で、プロデューサーから飛び出した言葉に、脚本家の西村は耳を疑った。「え? 〝ココ〟をですか?」 二時間ドラマで、一番の盛り上がりを見せるところなのに、いったいどういうことなのか?「そ。だって、マンネリでしょ?」「それを言うなら、〝王道〟と言ってください」 西村は、憮然として言い返した。「ま、西村ちゃんがそう言うなら、それでもいいけどさ」 そういう問題じゃない。だが、いまは、それよりもっと大きな問題がある。 些細なことには目をつむろう…続きを読む
そろそろだと思うんだけど……。 僕は、時計を確かめ、落ち着きなくソファに座り直した。 そのときだった。 ピンポーン! 来た!!「はあい!」 僕は、インターホンに飛びつき、応答した。 インターホンの向こうには、待ち受けていたそのひと――配達人さんの姿があった。『お届けもので~す!!』 感じの良い明るい笑顔と一緒に、配達人さんは、二枚の免許証を僕に提示した。 そう、今日僕が配達をお願いしたものは、このふたつの免許が無いと、配達できないんだ。「はい、確かに。すぐ伺いますので、少々お待ち頂けますかっ?」 僕も、弾む声で返し、ドタバタと足音高く玄関へ向かった。 …続きを読む
僕は、読書感想文が苦手だ。 本は、大好き。 でも、感想を書くのは、あんまり好きじゃない。 ハッキリ言って苦手……。 何でかなあ? 本を読んで、感じることは、たくさんあるんだ。 だけど、それを感想文にしようと思ったとたん、急につまんなくなるっていうか。 感想文を書くくらいなら、その時間で、いっぱいある読みたい本を、次の本を読みたい。 そして、今年の夏休みも、やっぱり読書感想文の宿題が出た。 うんざりとしながら、宿題の一覧表を眺め、机の隅へ放りだした。 それから僕は、たくさんの本を読んだ。 いわゆる課題図書も全部。 けど、次々読み進めるばかりで、感想文は一向に書かなか…続きを読む
オレは、いま、絶望のどん底にいる……。 これまでの人生で一番の底の底。 ほんの少し前まで、真逆の状態――〝我が人生最良の日!〟って、うかれまくっていたのに。 まさか! まさか、こんなどんでん返しが待ち受けているとは、夢にも思っていなかった。 ああ……。 オレは、すっかりすさんだ気分で立ちつくし、どこまでも続く真っ青な海を眺めた。 頬を撫でる塩気をたっぷり含んだ潮風も、人生も辛い。からいし、つらすぎる……。 事の発端は、一週間前にさかのぼる。 父さんが、電撃結婚した。 相手は、10歳以上年下の、とっても可愛らしいフランス人女性。 いきなりすぎて、ビックリした。そして感…続きを読む
いよいよ明日だ! わたしは、あてがわれた宿舎の自室、ベッドの上で、ゴロゴロと転がった。 ああ~、ドキドキする! ワクワクする! それから、ちょっぴり不安な気持ちもあったりして……。 ……大丈夫かなあ? ううう~ん。 いや、ダメ! この期に及んで、そんなことを考えたらダメダメ! いまは、ひたすら、前向きに物事を考えなきゃ。 そうだよ、わたし、強くなるんだ! わたしは、自分を奮い立たせながら、もういちどベッドの上を、ごろんと転がった。 うわっ、わわわ!? あ、危ない! 勢いがつきすぎて、あとすこしでベッドから落ちるところだった。 アハハ……。 落ち着け、わた…続きを読む
船外活動用の服に着替えながら、これからのミッションを、頭の中で、ひとつひとつ確認する。 内容、手順共にオーケー。何も問題は無い。 もうこれまでに何回も、しつこいほどに確認した。 しかし、一歩外に出れば、しんとした漆黒の闇が、無限に広がっている。 すこしの気のゆるみも許されない。 たったひとつのミスが、命取りになりかねないのだ。 よくよく気を引き締めて取りかからねば。 それこそ、〝一寸先は闇〟。 俺は、ぐっと奥歯を噛み締め、果て無き宇宙へとつながる扉の前に立った。『……こちら、コックピット。準備は、オーケー?』 コックピットのキャシーから、連絡。「オーケーだ。万事…続きを読む