「先日もご来店されましたよね。いつもご利用いただきましてありがとうございます。」カフェで店員さんに言われた。ずっと気になっていた店だが、訪れたのははじめてだった。僕にそっくりな人と勘違いしているんだな。この時の僕はその程度にしか受け止めなかった。行きつけの美容室だった。いつも僕を担当してくれる美容師さんが言った。「前回入れたカラー、気に入らなかったですかね?元に戻されたんですね。」「僕カラーなんて入れてませんよ。」「またまたー。」「本当ですって。いつの話ですか?」美容師さんは記録をめくって言う。「えーっと、先月の8日ですよ。思い出した。母の日だ…続きを読む
YOASOBIコンの発表が終わり、モノコンの受付も終わりましたね。楽しかったですね。次のイベントも楽しみたいです。そして毎日お題が始まりました!私、お題が毎日待ち遠しくて。大好きな妄想のネタがないと、物足りなくなってしまいました。最近は妄想癖が加速し、書きたいお話の種が頭の中にたくさんあります。その種は、毎日お水をあげて、茎を伸ばし、葉っぱをつけて。無事に花を咲かすまでに長い時間のかかる種ばかり。そんな種を適当に思いのまま、モノガタリーに撒いていたら、書きかけの長編が現在三作になってしまいました。ちょっと紹介を……。『国境の王族は…』中世のヨーロッパ風な…続きを読む
玄関に花を飾る女だった。俺の家に度々来る関係になるとすぐに、その女は切花を持ってくるようになった。男の一人暮らしの家に花瓶なんてあるはずもなく、昔ふざけて買ったメガジョッキを台所の隅から探し出してそれに生けた。花が枯れそうになると、新しい花を買って来た。「どうして花なんか買ってくるの?」俺の問いかけに「玄関が華やぐから。」と綺麗な顔を笑顔で咲かせた。大輪の花火みたいだな。俺は思った。彼女の凛とした綺麗な心根は、今までに遊んだ女達にはないものだった。あんなに惚れてたのに、どうして別れたんだっけ。ああ、そうだ。また俺の悪い女癖が出てきたんだ。…続きを読む
「アイツら、夜逃げしやがった!」「俺らのなけなしの金、持っていきやがって!」「許さねえ!」「訴えてやる!」この晩、この家族は夜逃げの予定だった。しかし待てど暮らせど夜逃げコンサルタントは来ず。連絡が取れなくなってはじめて気付いたのであった。…続きを読む
ここはしずくの脳内カフェ。今日は自分で書いた小説のお気に入りのキャラ達を招待してティータイムを楽しむ日。さて、そろそろ来ると思うんだけど。何だか外が騒がしいな。ーカランカランー「しずくさん、本日はご招待いただきありがとうございます。」中世の騎士の装いの品の良さそうなイケメンが入って来た。ミラーニ王国の王、ノアルト王だ。その外見のイメージは歌い手の天○さん!ライブの時の赤い王子様風の衣装がカッコよくて私が大好きだから、彼はこのイメージになった。「さ、みんなも入って。」ノアルト王は扉を大きく開いて他のキャラ達を促す。「しずくさん、お邪魔します。」…続きを読む
いつから空に浮かんでいるっけ?そんな事もわからなくなったある日神サマが現れて微笑んで消えたそして気付くと片手を握りしめていたそっと手をひらくコインがひとつ顔を上げると、空に行列ができていたみんな片手を握りしめている私もコインを握りしめて行列に並ぶ先の見えない長い長い行列私の後ろにも長い長い行列ゆっくりとだけど確実に進む行列どのくらいたったかわからない頃とうとう自分の番になった目の前には一台の白いガチャガチャ私はずっと握りしめていたコインをいれるレバーを回すガチャンケースを取り出して開ける目の前が白けるそれから…続きを読む
いくら飲んだ店がドイツ料理のバーだったからって、話の流れとはいえ、俺に童話の『ブレーメンの音楽隊』の話をするなんて。咲希はきっと、俺が『ブレウイ』のマネージャーだった過去を知っている。咲希はきっと、ハーレークインではない。なにしろ伊吹が言うには、あのオフ会の時、本物のハーレークインはバトロワで俺がいないのをいい事に一人勝ちしていたそうだから。それに伊吹に調べてもらったところ、ハーレークインはどうやらネカマらしい。『ハーレークイン』を騙るブレウイを知る咲希。『ゴエモン』を騙る真実を知る俺。この二人があのオフ会で出会ったのは偶然にしては出来すぎてやしないか…続きを読む
今日の銭湯はちょっとしたイベントで照明を点けないらしい。私はいつものようにお湯に浸かる。真っ暗闇で見えないけど 、何だか、いつもの明るい時と入浴客が違う気がするんだけど。なんかあの人、ヌメヌメしてない?なんかあの人、甘い匂いがしない?なんかあの人、生臭い匂いがしない?なんかあの人、体が溶けてない!?お湯もいつもと違う。怖い。どうしよう。私は逃げられない。その時、私の体は二本の棒で持ち上げられた。そのまま大きな穴らしき中に入れられた。「白菜だったあ!当たりだね。」「コレは、うわ!たこ焼きやん!」「あはは!コレ、お饅頭だわ。」…続きを読む