前夜~見えない月にhttps://monogatary.com/story/127882それでも夜は明ける。かくれた月のような自分の思いに気づいても~思い出を共有する6人の友人の、再会と再生の物語。…続きを読む
「星詠みの少女」といえば、与謝野晶子しか浮かばないほど、詩歌の世界には詳しくない。 正直に言えば、与謝野晶子の、情熱とか、あの時期における表現の立ち位置とか、すごいと思うことはたくさんあるけれど、歌集をちゃんと読んだかといえば、さほどでもない。 たぶん、だけれど、「みだれ髪」に象徴されるような、情熱というか、イメージというか、心情の吐露というか、そういう類いのものは、短歌という形式には本来そぐわないもののように思う。どんなに近代の短歌が「連作」という形で再生を試みたにしても、一首、一首の、歌のことばは、凝縮されていく必要があるし、「みだれ髪」で描かれている言葉は、いくら連作ということを…続きを読む
あの時、もし、あんなことを言わなかったら…。 あの時、もし、あんなことを言われなかったら…。 ふと、あなたは思う。あの時に、もし違う道を歩いていたなら、今、どうなっているのだろうかと。 限りない過去の選択が、現在のあなたを作り上げてきたことにあなたは気が付く。 久しぶりに大学のキャンパスであった彼は昔の彼のようでもあり、どこか違う風の彼でもあった。正直に言えば、あなたは彼のことを忘れていた。でも、彼の姿を見た瞬間、あなたの中の、彼の記憶が鮮明によみがえる。 忘れるはずのない、濃密な記憶。彼と別れる前には、あれほど鮮明だった記憶があなたの頭の中から消えていたことにあなたは気づく。…続きを読む
ぼくはピーマンが大っきらい。 なんで、あんなものへいきでたべられるんだろう? にがくて、へんなあじがする。きっと、ピーマンはへんなえきたいをからだの中にもっていて、それをたべられようとすると、それをだしてくるんだとおもう。そのぐらいまずい。 このあいだ、テレビでみていたら、てんとうむしがたべられようとするとまずいえきたいをだすってやっていた。きっと、それとおなじだとおもう。ピーマンはたべられたくないにちがいない。 だから、ぼくはピーマンのためにもたべないことにしてあげよう。てんとうむしをたべたとりは、まずいから、あのもようをみるとにどとたべないらしいけど、ぼくも、あのみどりをみる…続きを読む
けらけらはとっても大きいです。マンションの3かいぐらいの大きさで、みんながけらけらをみると「大きいなあ」といって、びっくりします。 でも、ほんとうは、りんご1こぶんくらいのおおきさです。けらけらはとっても大きなぼうしをかぶっているのです。なぜかというと、けらけらはじぶんがマンションの3かいぐらいまで大きくなりたいのです。はやく大きくなりたいのに、なかなか大きくなりません。 はじめてけらけらとあうひとは、けらけらがとっても大きくておどろきます。 でも、けらけらのともだちは、けらけらがほんとうはちっちゃいことをしっています。だから、みんなはかげで、けらけらのことをわらっています。「あ…続きを読む
梅雨が今日も続く重苦しい休日に、彼は子ども二人と遊んでいる。こう雨が続けば、どこに行くあてもなく、そして、コロナの状況からしても、なかなか遊びに連れていくわけにもいかない。 妻は休日だが、朝からオンラインで打ち合わせをしている。彼女は管理職にステップアップし、だんだん役割が大きくなってきていた。営業もあるから休日にも仕事が入る。休日出勤にならなかっただけマシかもしれない。子どもたちはそれが不満だ。さっきから理由をつけてはオンラインの会議をしている妻のもとに走っていき、その度に彼が連れ戻す。もちろん彼と子どもとの関係が悪いわけではない。母親がいなければ子ども二人にとって父親は最高の遊び相手だ…続きを読む
雨が降り続けている。 休日なのに行くあてもなく、窓を伝う水滴を眺めながら、それとは別のリズムを刻む雨音をなんとなく耳にしつつ、今は見なくなった昔ながらの喫茶店に一人座っている。 仕事は順調だ。もちろん嫌なことはたくさんある。会社のためにやっていること、顧客のためにやっていて一定の評価を受けていることが、認められず、叱責を受けることもある。でも、人生とはそういうものだ。 どんな場面でも重要なのは関係だ。彼はすでに知っている。それはいいとか悪いとかでなく。何をしたかではなく、誰がやったかということが重要なのだ。時にそれは理不尽に感じるにしても、多かれ少なかれ誰しもそうやって生きている。そこ…続きを読む
おならプープーは、おならばかりしています。がまんするのはにがてです。おもしろそうなことがあると、ついついみたり、やったりしてみたくなります。そして、うごくたびに、プープーとおならが出てしまいます。とくいなことはくさくないおならをすること。でも、ふだんはふつうにおならをプープーしています。「くさい。くさい。」みんなはわらいます。…続きを読む
さんぼんは、さんかくなのにさんかくがきらい。さんかくなじぶんをみるのもきらい。だから、さんかくなじぶんがうつるかがみもきらい。さんぼんはかたちをかえるのがとくい。だから、いっつもかたちをかえる。かっこいいまるくんがくれば、まねをしてまるくなる。だってかっこいいから。しかくのしかくんがくれば、しかくくなる。だって、やっぱりかっこいいから。ほしくんがくれば、ほしになり、はーとちゃんがくればはーとになる。でも、まねをされるともだちはなんだかばかにされてるきになる。「まねしないでよ。さんぼん。」「まねしてるんじゃないよ。みんながかっこいいから、ぼくもそうなりたいだけだよ。」…続きを読む
こねこのにゃーなとにゃーたはいつもなかよしです。おねえちゃんのにゃーなと、おとうとのにゃーた。いっつもふたりであそびます。にゃーなはえほんをよむのがだいすきです。にゃーたにえほんをよんでじをおしえます。にゃーたはかずやけいさんがとくいです。にゃーながにがてなけいさんをかわりにしてあげます。ふたりはおたがいにたすけあいます。なんでもにひきでわけあいます。おかあさんはじゅんばんこ。もうひとりはおとうさんでがまんです。おやつがひとつしかなくても、はんぶんこ。げーむやあそびも、にひきでしょうぶ。おもちゃがひとつしかなくても、じゅんばんこ。たまにはけんかもするけれど、それで…続きを読む