電車降り 改札を出て 歓楽街夜の街 待ち合わせには 先につき今夜行く ホテルの場所を 確認し改札を 出てくる今日の 約束人童顔で 白いワイシャツ 大学生私見て 無表情で 近づいて目に入る ミニスカートと 白い脚早急に 君の手を引き 歩き出す部屋入り 華奢な体を 押し倒す腕開き 私の体に 手を回す抱きしめて 上がる体温 火照る顔温かい そう呟いて 笑う君唇に かぶせるように 深いキス好きにして そう言い彼女は 俯いたワイシャツは いとも容易く 脱ぎ捨てて君はまた スカートに手を かけ始め 行為終え 鞄の中から 財布だし彼女へと 渡すは諭吉 五人分終…続きを読む
「あのさ」 夕焼けがほんのりと照らす教室。二人きり。「ずっとあなたが好きでした」 そう言うと、あなたははにかんだ笑顔で「俺も」 と小さな声で言った。 私はあなたに抱きつこうとあなたの元へ。 それを邪魔したのはアラームだった。なんだ、夢か。朝6時、最高で最低な1日の始まりだった。 私は支度を済ませて家を出た。今朝の夢が頭から離れない。彼のことが頭から離れない。この通学路で彼のことを考えるようになったのは何回目だろうか。 彼に恋をしてから、一年間が経とうとしていた。今いる並木道も、梅の花が綺麗に咲いている。 そろそろ卒業か。私は通学中ふと思った。彼に直接聞いたわけじゃ…続きを読む
「ねぇ、手紙の書き方を教えてほしいんだけどさ。いいかな?」 朝、私が教室の机に着くなり大親友の華奈がそう言った。 少し詳しく聞いてみると、どうやら想いを寄せている人に手紙を書きたいらしい。ラブレターだ。 私はラブレターを書いたことがなかったことを伝えたが、それでもいいと華奈は言った。 「じゃあ、ひとまず家で書いてみて。それを添削する形でいいかな」 と言って、今日のところは終わった。 その日、試しに私もラブレターを書いてみることにした。そっちの方が華奈の書いたものにもアドバイスしやすいと思ったからだ。 私が密かに好意を寄せている高橋君に向けて書いてみよう。高橋君は、同じ…続きを読む
私が主人公の小説を作れないだろうか。 そんなことを思って一年以上が経過した。 そもそもこんなことを思い始めたのは、あなたに恋をしてからだった。 彼はサッカー部に所属していて、まるでサッカーにしか目がなかった。サッカー馬鹿って言うのだろうけど、私はそんなことは思わなかった。 でも、私は彼と話したことがないのだ。だから、恋の成就率は0%に等しいといっても過言ではない。 私は恋愛小説が好きで、多くの作品を読んでいた。そのどれもが主人公と主人公の好きな人との接点があったのだ。仮になかったとしても、例えば住んでるところが近いとか、授業中教科書を見せてもらったとか、とにかくかかわりができ…続きを読む
三年間程度付き合っている彼とカフェに来た。 このカフェは彼と出会い、今の関係が始まった場所なのだ。 院生時代、ふと寄ったこの場所であなたに出会い、一目惚れし、アプローチしたのが懐かしく思える。 彼はコーヒーが好きなのが理由で、カフェ巡りが趣味だったらしく、二人でいろんなカフェに行った。 対して私はコーヒーがそこまで好きなわけではなかった。でも、彼といる時間が好きだったから、彼への愛に比例して砂糖やミルクをコーヒーに入れて飲んでいた。 「ここ来るの久しぶりだね」 彼は席に通されると、来ていたジャケットを脱ぎながらそういった。「うん、そうだね」と私は言った。たしかにこのカフ…続きを読む
2月14日の学校。 男ならわかると思うが、主に女子からの好意が目に見えてわかる1日だ。 僕はというと、幼馴染の楓から毎年チョコをもらっていた。 楓は僕と違って冗談というか、ふざけたことを言うタイプで、男女問わず好かれている。その上で可愛い顔立ちをしているため、楓に想いを寄せている人もきっといるだろう。かくいう僕もその一人だが。 そんなことを知ってか知らずか、昼休みに楓が声をかけてきた。「ピピピピ、本命チョコ発見」 楓はワイヤレスイヤホンをそれぞれの手に持って、僕の目の前でそう言いながら二つのイヤーピースを外側に向けた。「ダウジングマシンかよ、本命どころかチョコすらもらっ…続きを読む
地下鉄で、今日も君と目があった。君は今日、第一志望の大学の推薦入試らしい。 出願条件である評定平均値である3.5を上回る4.4を持っている。なおかつ、生徒会役員だったりボランティアもある程度はしていたから、決して他の受験者に劣ってはいないだろう。それでも不安感が拭えないらしかった。 君と電車で目があうと、いつも小論文の参考書、面接対策のファイル、科目の参考書や単語帳を手に携帯していた。 頑張っても頑張っても不安で仕方ない気持ちはとてもわかる。私も同じ状況に立っているから。 でも、君が頑張っていることは私が誰よりも知っている。だって、学校で先生から小論文の添削をお願いして…続きを読む
こんな所になんて来なければよかった。 日が沈んだ山の中、私たちは遭難してしまった。 私は、笑顔が素敵なひょうきん者のあなたに想いを寄せていた。だから二週間前、登山に一緒に行かないかとあなたが聞いてきたときに、ひとつ返事で承諾したのだ。 スマートフォンはとっくに充電が切れていた。充電があったとして圏外だった可能性もあるだろう。コンパスはあったが、こんな暗い山の中だ。移動することも命を奪いかねない。 こんな時にも相変わらず口数が減らないあなたが隣にいるから、不安感がほんの少し和らいだ。 隣でリュックサックの中身を見ているあなたが、一本のペットボトルを取り出して私に話しかけ…続きを読む
2月9日朝7時、寒さに震えながら君を待っている。 既に太陽が顔を出していて、町を照らす。 通学路である並木道には落ち葉一枚すらなく、ひっそり閑としていた。 車の音、近くのコンビニの入店音に紛れて聴き慣れた足音が聞こえてくる。 ローファー特有のカツカツとした音を鳴らし、制服のスカートを揺らしながら早足に向かってくる君が見える。僕らは互いに手を振り合い、おはようと挨拶を交わす。そして二人で駅に向かうのが、僕らの朝の日課なのだ。 正直に言うと、僕はこの子、美咲に恋心を抱いている。だから、おはようで始まる二人だけの時間は、僕にとって幸せなものだった。 本当はもっと長い時間一緒にいた…続きを読む