”夏月優様へ貴方は元気ですか?違いますよね?自分について一番知っている人は自分だから、貴方が元気でないことぐらい、わかります。この手紙は返信不要です。どうせ返信なんてできないのですから、いいじゃないですか。七日経てば薬が届きますからね、一週間後の私はさぞかし楽になっているだろう、羨ましいです。 一週間前の私より”こんなことして何の意味があるんだろう、どうせ私はもう七日間しか生きないと決めているのに。メモ用紙に走り書きながらスマホの画面を見た。輸送は一週間後、と書かれた画面が現実を訴えていた。一周間後の私なんて、物理的に返信できるわけないじゃない、死んでいるんだし…続きを読む
ひ‐げき【悲劇】 〘名〙 (tragedy)❶ 人生の重大な不幸・悲惨を題材とし、死・破滅・敗北・苦悩などに終わる劇。矛盾・対立・葛藤の動的な展開から破局に至り、悲壮美を呼び起こすもの。喜劇とともに劇の二大分野の一つ。❷ 悲惨な、また不幸な出来事。~~~やっとだ。やっと終わる。右手はシャーペンを握りすぎて、ペンだこができていて、小指の下の部分が真っ黒。睡眠時間を削り、深夜から2時間かけて書き上げたエッセイが。そもそも、存在を忘れていた自分が悪いが、一か月前に提出日を伝えて、その後何も言わなかった先生も悪いと思う。たまたま友人が「エッセイ書き終わったー?」…続きを読む
”悪いのは誰だ分かんないよ誰のせいでもないたぶん”カフェのスピーカーから流れる音楽はYOASOBIの「たぶん」今の気分にちょうどいい曲だ。本当にどっちのせいなんだろう「椎原ちゃん……、俺なんかよりもっといい男見つけてくださいね、」彼は悲し気に笑って椅子から立ち上がり、椅子を引いた……なんだよっ。最後までかっこよすぎるし、あっさりしすぎてるんじゃない?ガガガっあ、この音、もう私の彼氏の音じゃない。いつもなら優しい音で、濁ってなかった。物語の彼と同じだな。”少し冷えた朝だ”ほんとに今日にピッタリな曲だな、、、「椎原ちゃん、歌声綺麗だね」店長に言われて初めて口ず…続きを読む
「ねー!たっくん?日奈さあ、習い事の友達誘ってダブルデートしたいんだけどダメー?」俺の彼女、松野日奈が塾の帰りに聞いた。「おう!いいんじゃね?」…別に逆らえないとかそういう怖い関係じゃないけど、なんとなく日奈に頼まれると断れない。「やったー!えっとね、奈津美紗江って子、ほら前言ってたミサって子!とミサの彼氏の朝宮玲音って人と遊びたい!」無邪気にはしゃぐ彼女は可愛かった。「どこ行くか?日奈どっか行きたいとこなかったっけ?何とかカフェ行きたいとか前言ってた」記憶を探りながら聞いた。「お!やっぱたっくんすごいっ!ハリネズミカフェ行きたいの~!」「じゃあ決定だな!奈津さんに連絡しとけよ…続きを読む
推しにささげるって、、ピッタリなお題過ぎてびっくりしました!古いお題だったのでもっと前から知りたかったです、、俳句は季語が必要なのですが、そこまで語彙力がないので「無季俳句」でそもそもささげるってのが捧げるですよね?「心臓を捧げよ」に聞き覚えある人いませんかなー、、、?私の推しは進撃の巨人のキャラなんですよ!!ってなわけで、~~~~~四年後で髪伸ばしても悪人面片想い七年一途みのらない公式の赤面シーン夕日のせいブレードと交わしたキスは何の味後少しお願いだから生き延びて……誰だかわかりますか…?…続きを読む
ある少女がいました。彼女の名前はKKはお父さんの仕事の都合で小学一年生の夏休み中にアメリカに引っ越すことになりました。アメリカについたら、言語は喋れませんでいた。幸いなことに、Kのお父さんも帰国子女で、英語が喋れました。Kは現地校に通いました。クラスには一人、日本人の男の子がいました。しかし彼は面倒くさがり屋で、あまりKを手伝ってくれませんでした。仕方なくKは自分で地道に頑張りました。それのおかげで、二年生に上がるときには日常会話レベルに達していました。逆にKはその男の子に感謝しました。三年生に上がると、Kは素敵なものに出会いました。マイナーな話かもしれないけれど、『…続きを読む
“~明日世界は終わるんだって明日世界は終わるんだってもしも世界が終わらなくって明日がやってきたならねえ、その時は二人一緒になんて”「アンコールってやっぱいい曲だよね~」寒い朝、電車を待ちながら左のイヤホンを着けていた百夏(ももか)が言った。「なんか、メロディーきれいだし、ストーリーもきれいだし!あと伴奏とかかっこいいしー………」右側のイヤホンを外しながら、「あ、電車来た。寒っ」といい、私は電車に乗る準備をした。革鞄の上に置いてあったサブバッグを肩にかけ、革鞄を持ち上げた。重すぎるってば……電車に乗ると幸いなことに席が二つ隣で空いてた。「そこ座るー?」と百夏に聞かれ、頷く…続きを読む
金の雨、全能の神のゼウスがダナエに会うために使った姿でもある。でもそれは現実の世界にはない………はずだった。学校行くのだるっ…二時間目から遅刻で行こ……両親は会社、亜也姉は研究室で仕事だし、拓兄も家にいないあー、つまんないなんか面白いことないかな~……玄関の扉を開き、遅刻の言い訳を考えていた。うわ、雨降ってきたしと思い、諫早愛海は傘を出した。その傘を差した瞬間が愛海を救ったと言えるだろう。…続きを読む
「今日練習でさー、紗織のパートにめちゃくちゃずれてる男子いたー」妹の紗輝が言った。「あーそれ多分矢野君」スマホをポケットにしまい、紗輝に言った。「上手く弾けないの?そこのヴィオラ早いもんね~、無理そうだったら降り番にしたら?」降り番は、人数調整や実力不足の理由でコンサートの本番で舞台から"降りる"人たちを指す。「いや、下手ってわけじゃないんだよ。普通に上手い。」「だけどたまに発作が起きて、耳が聞こえなくなるみたい」いつもなら発作が起きたら止めてって言ってたのに「まじか!!逆によくうちのオケ来れたね!あの先生がそんなのオケにいれるって」軽い口調で言った紗輝を止めようと思ったが手遅れだっ…続きを読む
「学校の怪談」どこにでもありそうな題名だけど、学校の図書室の一番奥の小さい棚に七冊ほど置いてある。七不思議にちなんで七冊も書いちゃったってわけか一冊に十個ほどの短編が入ってるから合計で70話もある。そして俺たちは今日、夜の学校に忍び込んで、全巻を読むつもりだ。待ち合わせは学校に近い公園のベンチに10時だ。俺は親に早く寝ると伝えて、普段着に着替え家を出た。いつも登校するとき使っている道と同じなのに夜だと雰囲気が違う夏の夜でも寒いんだな、と思い半そでで来たことを後悔した。歩いていると後ろから足音がした。ヒヤリとしたが、待ち合わせをしていた友達のうちのリーダー的な存在、一ノ瀬だ…続きを読む