私は"アーティスト"それも冬に雪の降る地域限定で…3年前の冬私は叔父の別荘でくつろいでいた外は豪雪で、膝の高さまで雪が積もっている雪が降るとき特有の静けさが辺りを包む暖炉の前で破裂音がする火を眺めながら純白にはやっぱり赤が映えるのかなとぼんやり考えていた日本国旗もサンタクロースも白と赤の組み合わせだしなぁそう考えた私はひとつ仮説を立てることにした純白の雪に映える赤は"鮮血"なのではないか赤とも黒とも取れないあの独特な色こそが1番映えるのではないか思い立ったが吉日私はキッチンで作業をしていた叔父を殴り近くの包丁で心臓を一刺し。鮮血を鍋に採取して…続きを読む
私は、解離性同一性障害一人の人間の中に2つ以上の人格が現れる神経症だとか"オリジナル"の私は、臆病で暗くて控えめな性格親に勉強ばかり強制されてすごくストレスが溜まっていた"ベター"が最初に現れたのは、ストレスがピークに達した時だった夜、翌日のテストのために勉強机で徹夜モードだった私は急に意識が無くなり気がついたら2日経っていた机の上を見ると『昨日のテストは楽勝だったよ』と私より乱暴な字で書かれたメモがあったそれからというものテストや大事な試験がある日には必ず"ベター"は現れる"ベター"という名前は私が付けた私より勉強ができるから親は私の成績が上…続きを読む
私には双子の兄がいたたった五分差で産まれた兄だ兄はある日突然この世から姿を消した私と兄は仲が良く、大学入学と共に上京し、一緒に部屋を借りて暮らしてた小学校から大学までずーっと一緒だった兄がいることが当たり前で、知らず知らずのうちに心の支えになってたそんな兄はある日突然この世から姿を消した交通事故だったあの日はいつものように大学へ出かけたのに…私は葬式にも立ち会えないほど酷く落ち込んだ現実が受け止めきれず、玄関で独りずっと兄の帰りを待っていたまた"いつものように"「ただいま」って、「まだ起きてんのかよ」って言って欲しかった東京にはこんなに人がいる…続きを読む
チッ、チッ、チッ、チッ…時計の音だけが響く午前3時僕は布団の中で、格闘していた誰もが1度は経験したことがあるだろう"寝なきゃいけないのに、眠れない"という状態に今陥っているもういっその事、朝まで起きててやろうかその方が寝坊もしないし良いのではないかでも、寝ないとしんどいし。寝るor寝ない論争が頭で繰り広げられている間にも時間は過ぎていく考えてても仕方ないし、何しろ面白くないので本を読むことにした近くにあった推理小説を手に取り、読むしばらくは熱中したものの、飽きてしまった時計は午前5時を指す意外と時間が潰せたのは良かったが、小説を読んだことで睡魔が襲ってきた…続きを読む
3月末カーテンを揺らす心地よい風とふんわり包み込むような陽射しのなか、何も無い部屋に寝転がる「あーっ」引越しのために空っぽになった部屋久しぶりに見えたフローリングは硬い「あれ?」ふと壁側に目をやった時に、私は何かを見つけた壁とフローリングの間に1cm程の隙間が空いていたのだそしてそこから小さなメモのようなものが出ていた私は"ごろん"と鈍い音を立てながら転がりそれを手に取った『がんばれ』へたくそな字でぽつんと書かれていたそれを見た時、一瞬にして記憶があの頃に戻ったそれは私が6歳の時だろうか小学校に入りたてで上手くいかないことも多く、凹みが…続きを読む
みなさんは"蛙化現象"という言葉をご存知だろうか片想いの時はなんともないのに、相手から好意を向けられると一気に冷めたり気持ち悪くなってしまう事を指すのだとか気づいた時には私は"それ"になっていた昔は、「私は変なのか」と考えることもあったし、「恋人がいたって時間とお金の無駄」と合理化することもあった今は、彼氏いない歴=年齢なのは、これが原因かと最近では割り切れるようになったから、少しは成長したと思う今まで告白されたことが無い訳じゃない、男友だちがいない訳でもない。今はまだ時期じゃないだけ、私には恋愛はまだ早いって神様が止めてるのかも『蛙化現象、か。』夕…続きを読む
丑三つ時。時計の針の音だけが、僅かな月明かりに照らされた部屋に吸い込まれる。眠気なんて暗闇に溶かした僕は、もはや用のないベッドに座り直した。僕は、夜が嫌いだ。暗闇が宇宙から降ってきて、地球も、僕も全て無くすから。灯りがなきゃ、色も見えないし。こんなカラフルな世界なのに。なんて、空虚な空間に呟いたらいつの間にか光が変わってた。僕の部屋を照らしていた月明かりは消えて、眩しすぎる光がカーテンの隙間から刺すように目に飛び込む毎朝吠える犬は、今日もうるさく吠えてる新聞配達のバイクの音や、どこかで鳴り続けてる目覚ましも時計の針の音だけだった僕の部屋を賑やかにする…続きを読む
私には幼稚園・小学校・中学校で合わせて4人ともう1人小さい頃からの親友がいるんだでも、テレビドラマを見てて思ったの親友は1人でいい誰が本当の親友か、決めよっとまずは幼稚園の親友名前はあやちゃんだったかなあやちゃんはボブが似合うほっぺがお餅みたいな子だった私はあやちゃんを1日中独り占めしてたんだだってあやちゃんは私の親友だから!でもね、あやちゃんは幼稚園の卒業式前日にジャングルジムから落ちていなくなったのあやちゃん、高いとこ嫌いだったからなぁ次の小学校の親友はうかちゃんうかちゃんは本当はゆうかっていう名前なんだけど、親友の私だけの名前を付けてあげたの!可愛い名前…続きを読む
僕の名前はピヨちゃん広めの口に低めの身長、横幅のある体には大きなひよこちゃんの顔が書いてあるんだ僕は小さいからね、使ってくれているご主人さまが見つけられないこともよくあるの「ピヨちゃんどこいったー?」って、家族のみんなによく聞いてるんだ僕は動けないし声も出せないけど、全力でアピールしてみるんだそうすると、すぐ見つけてくれるんだ僕、意外とすごいかも!僕はね、ご主人さまの家に来てもう10年以上経つけど、他のお皿くん達とのお別れは何度もしてきた僕の幼なじみももういないよ僕もいつかマグカップでいられなくなる時が来るのかもしれないけど、今ご主人さまといれる時が最高に楽しいから考…続きを読む
冬はやけに落ち込みやすいいつもならポジティブにできることもすぐにネガティブに考えてしまう夜8時今日もどよーんとした気分に包まれながら最寄り駅からとぼとぼ歩くぼーっと歩いていると潮の匂いがしたどうやら、家への道を曲がり損ねたようだサクッサクッ砂浜に1人、月夜に影を落とし歩くおあつらえ向きのベンチが置いてあるので座ってみると、空き缶が転がってきたベコベコになった空き缶手に取ると、軽く音がする中は小さく折りたたんであるメモ用紙だった「大丈夫、明日は大丈夫」控えめな丸字で書かれた文字で月明かりに照らされた海は、やけにキラキラして見えた…続きを読む