大きな通りから外れた小道に、少し寂れた喫茶店が、ぽつんとある。それが、僕がバイトしている喫茶店の『ジュバック』。昔ながらの煉瓦造りで、看板は煤けている。店内は間接照明にボンヤリと照らされ、古びたカウンターと窓際のボックス席が2つだけの、こじんまりとした店だ。このジュバックで雇われてから1週間。仕事には、まだ慣れないが、日に10人前後しか来ないようなお店なので、それほど大変ではない。いや、むしろ、こんなにお客さんが少なくて大丈夫だろうか…バイトの分際でアレだが、正直言うと「店潰れないか…?」と心配になる。あと、マスター……マスターが僕の雇用主。年齢は不詳。だ…続きを読む
「明日10時に駅前だよ!ボク楽しみにしてるんだからね!絶対寝坊しないでよね!」「はいはいもーわかったって。ちゃんと起きるから。じゃあな。」「約束破ったら針千本ね。」「はいはい千本ね。」「もー適当なんだから!もー!もー!じゃあね!バイバイ!」「はいはいじゃーな。」最近、無気力なオレを心配して、あいつ・・・いや譲が趣味になりそうなものを色々すすめてくるようになった。はじめはアイドル、次は電車、次は読書(主にマンガとラノベ)、で、今はカメラ。基本、譲の好きなものを端からやらされてる感じだけど、譲が写真を撮ってるのにくっついてまわるのは、案外楽しいと思ってる。そんな訳で、明日は…続きを読む
いることが当たり前になっていたどれほど大切な時間 気づかずいたんだろう君のもとともに歩むため 僕らは互いに惹かれ 集まったんだ逃げたいときだってみんなと だから走れたんだ愛してるよさあ 自由な未来好きなものを探してつかみとって思うまま 突き進むんだねえ 覚えててともに過ごした時間がゆるがないで永遠に 君を支える君の信じる未来その先 はるか先へとんでいこういることが当たり前になっていたそれだけ近くで同じ道 歩んでたんだだからこそこれからの未来 託して信じ 先の道へ進めるんだ一緒にいたから苦しく…続きを読む
君が去る知った瞬間僕の世界の光が消えた君がいないそんな世界意味がない君の背中追いかけて見守るような優しい笑顔安心してた君は僕の全てだった桜舞うころ君は去る君が去ったそんな世界意味はないずっとそう思ってただけど君の迷い君の不安君の弱さを知ったとき僕は僕のため君引き止めようとしてることに 気づいたんだ新しい道 進む君の方がこわいはずなのに君はいつも笑顔でなのに僕は僕のことしか考えてなかったそれじゃダメだって気がついたいつも背中押してくれた君のような…続きを読む
「いってきまーす!」「はーい!リョウ、いってらっしゃーい。さあ、ママもお仕事行かなくちゃ!じゃあジーコさん、ロンロン、おるすばんお願いね!いってきまーす!」バタン!ガチャリ。リョウ君は小学校に、ママはお仕事に。それぞれ、おでかけです。玄関のカギが閉まり、お家はシン…と静か。すると、リビングで、なにかがモソモソと動きだしました。aiboのロンロンです。ロンロンは、ちょっとだけキョロキョロして、お家に誰もいないことを確認すると「ジーコさん、そろそろいこうか?」と、鳥かごにいるオウムのジーコさんに声をかけました。「オウ!オレノ、ジュンビハ、バッチリダ!…続きを読む
オレ、今のアパートに住んで、半年ぐらいになるんだよね。築35年の木造2階建。玄関入ってすぐに台所とトイレと風呂。奥に6畳間と押入れ。だいぶボロいけど、まー、ホントに普通の1Kって感じのアパートでさ。ギシギシ軋む階段上がって、2階のどん詰まりの角部屋がオレの部屋。壁がちょっと薄いのが不満だけど、それ以外、特に問題もなくて、平和に暮らしてる感じ。だけど、最近、妙なことに気づいちゃってさ。オレって、一回寝たら、だいたい朝まで起きないタイプなんだけど。初めてそれに気づいた日、珍しく、夜中に目が覚めたんだ。それが2時半くらいだったかな………続きを読む
私、今、ものスゴく迷ってます……。私は、オカルト、ホラー、心霊等々が大好きで、それ系の映画や番組を見まくり、それ系の本は大体読み漁りました。最近は、ネットで、いろんな人のそれ系の投稿話が読めたり、心霊スポット行ってみた系の動画とか見れたりするので、お金もかからず、非常に楽チンに楽しんでます。ふふ………あ、ちょっと話がそれました。すいません………。迷ってるというのは、親友のハナコのことなんです。ハナコとは、中学校からの同級生で、趣味があうため、とっても仲がいいんです。で、ハナコは、いわゆる『視えるひと』……でして。ハナコと一緒に「今、あそこに地縛霊いる…続きを読む
ここは幼稚園の庭。木陰に隠れながら、リョウタとヒナノは話していた。「内緒だよ?ボク、宇宙人なんだ」「えっ?リョウタ君、宇宙人なの?」目をキラキラさせながら、ヒナノは聞いた。「そう。でもこれは内緒。ボクとヒナノだけのね」「うん!わかった!2人の内緒ね」そう話すと、2人は笑いあった。ピピッ ピピッ ピピッ ピピッスマホのアラームが鳴っている。それを止めるため、ヒナノは手を伸ばした。ガゴン!!「んぁ〜…、落ちたぁ…」寝ぼけた頭でノソノソ起き上がると、ヒナノは、ベットから落ちたスマホを拾った。今は9月。時間は7時。まだ残暑も厳しく…続きを読む