逆だ…コニー・スプリンガー。最初に教わったハズだこの敬礼の意味は「公に心臓を捧げる」決意を示すものだと。 貴様の心臓は右にあるのか コニー?…続きを読む
仲がいい友達とLINEで話していた。今日はその子の誕生日。彼は中1の時に同じクラスになって、友達になった。いつも笑顔で話し上手。気遣いができる優しい性格。それに加えて賢くて、外見もいい。そんな彼に誕生日メッセージとスタンプを送る。「いつも仲良くしてくれてありがとう!部活も同じで、友達に慣れてよかった!〜歳の誕生日おめでとう🎁」すぐ既読がつく。「ありがとう!こちらこそ友達になってくれてありがとう〜」彼からのメッセージが続く。「ねぇ、」「何?」「秘密にしてくれない?君のことが好きって言う事。」私はしばらく固まった。そして我に返り、メッセージ…続きを読む
「へへーん!これがマヨネーズの一番美味しい食べ方だ!」白米にマヨネーズをたっぷりとかけた丼をもち、彼女はニカっと笑う。「そんなもの毎日食べてたら太るよ。体に悪い。」「ははっ大丈夫大丈夫!人生いつ終わるか分からないし、好きなものを食べといた方がいいよーだ!しかもほら、私痩せてるし」そんな事を話した次の日、彼女は交通事故に巻き込まれて死んだ。それから数週間がたったある日-彼女がいなくなってからマヨネーズはちっとも減らない。いっそのこと彼女のお墓に添えとくか、とも考えた。いや、でも僕はやっぱり昔好きだったマヨネーズたっぷりの卵サンドを作ろう。…続きを読む
夜でも明るく活動し続ける東京。ビルの間を抜けるネオン。チカチカと輝く看板。コロコロと変わる広告の画面。僕とその街の明るさは対照的だ。仕事が終わり、終電に乗って帰宅する。ぼんやりと窓を見ると、自分の姿がうっすらと写っている。そこに映し出されているのは、望んでいない現状に苦しみながら生きる僕。大丈夫、いつか大丈夫になる。そんな言葉を何回も他人から聞き、自分にも言い聞かせていた。1人東京の景色に助ける僕はまるで幽霊みたいだ。信頼、必要性、感情などを失うことに慣れてきた。ある日、忘れてしまったあの願いを思い出した時に涙がこぼれ落ちた。それは、きっとこの街があまりにも眩し…続きを読む
一人一人は「線」で表されている。それぞれ違う色、違う太さ、だけど全て同じように寿命が尽きるまで真っ直ぐと伸びている。最初は平行かもしれない。それが、少しずつ、年月が経つうちに風に吹かれ実は少しだけ斜めになりいずれ交わることになるそれが明日でも1週間後でも春の初めでも交わった時には「奇跡」と呼ぶのかもしれない。…続きを読む
昔の私の方が「人間」だったかもしれない。音楽も、映画も、本も、昔の方が泣いたよ。昔大好きだった小説を読み、こんなに面白味のない本だったっけ、と絶望する。つまらなくなったのは本か、それとも私だろうか。言葉の鋭さに傷つき、周りの鮮やかに絶望する。私だけ時間に遅れているみたいで、進んでいない気がする。15歳から生きるのに精一杯なのは変わらないけど、私が私じゃなくなっていくのが怖い。今までの主張や責任はそのままだ。あの頃嫌った「大人」になっていく自分がいるこの仕組みに反抗したい。この物語は傘村トータさんの「22歳の反抗」という曲をもとに書いています。…続きを読む
僕は、君が作ったヒューマノイド。君が僕を作ってくれた間、色々な話を聞かせてくれたね。友達が作るのが苦手だとか、クラスに馴染めないとか。僕は、そんな君が大好きだ。楽しい日々を過ごしていた。ある日、君は第一志望の高校に合格し、その学校に通い始めた。君は、そこで「運命の人」に出会い、一目惚れしたと言う。「前は、君が好きだった。だけど、その気持ちは異性としての気持ちじゃなかった。多分、自分が作ったはじめてのヒューマノイドだったから、誇らしく思っただけ。私は、本物の人間に恋をした。」その言葉を聞き、あるのかも分からない心が拳で握りしめられた気がした。メリーゴーランドみたいに回る僕…続きを読む
「〇〇!」ん?誰か、僕のことを呼んでいるのかな。ここはどこだろう。何も見えない。さっきから僕の肩を揺らし、何かを必死に伝えようとしている人がいる。ひょっとして僕の名前を呼んでいるのだろうか。「リリィの事知らない?あの人の綺麗な声、とっても好きなんだ」僕はその女性に聞く。前はどこにも行かないって言ってくれていたのに。「その人、僕のことを置いて消えちゃったんだ。ひどいよね、あはは」また、光の降る街を歩きたい。あれ。誰が歌った歌だっけ。覚えてないや。僕の掌の上に何か、冷たいものが落ちる。彼女の涙だ。気づくと、僕の頬にも涙が落ちていた。抑えきれない涙。ど…続きを読む
あの人が眠ってしまった。とても、とても深い眠りについている。あんなにも優しい彼が病気になるなんて、壊れていたのは、間違っていたのは世界だったのかな。もし起きなかったら、彼には朝が来ない。またあの声で「おはよう」と言って欲しいのに。歌えば、気がついてくれるのかな。彼が「君の澄んだ声が好き」と言ってくれたことを思い出す。いつか、またあの光り輝く街を手を繋いで歩きたい。また、上を見上げて空の青さを思い出して欲しい。何も知らないあなたでも、私が君のことが好きなのは変わらない。「明けない夜はないよ」「ほら、行こう」辛いときには励ましてくれた彼、何…続きを読む