同い年の健太とは家が隣同士ということもあって、幼い頃からいつも一緒だった。幼稚園児のころ。健太は私に、「ぼくたちはきょうだいだよ。いつも一緒に遊んでるから」そう言って私の手を握り、ふたりでいつもの公園へ走った。私も健太の手をぎゅっと握り返して、「これからも一緒に遊ぼうね」と言った。小学3年生になった。学校からの帰り道、健太は私に、「ぼくたちはもうきょうだいじゃない」と言ってきた。私が「どういうこと?」と尋ねると、「お父さんとお母さんが違うからきょうだいとは言わないんだって。僕たちは友だちなんだよ」と言った。本当のきょうだいじゃないことくらい、私もわかってたけど、改めて健…続きを読む
<受信トレイ>2021年4月8日僕へ高校入学おめでとう。突然のことで申し訳ない。君は、僕だ。何を言っているかわからないだろうけど、もう一度言う。君は、僕だ。そして僕は、80歳の君なんだ。驚くかもしれないが、未来は君が思うよりもずっと、社会が進歩する。こうして過去の自分にメールを送ることもできるようになるんだ。すごいだろ?だが、人生で送れるメールはたった1通だけ。しかも限られた文字数しか送ることができないから、伝えることは限られてしまうんだ。もしかするともっと進歩して、この先何通も、そしていろんな人に送れるようになるのかもしれないが、僕が生きている今は…続きを読む